過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

インド

ブッダは釈尊だけではない。決して一人の人物を意味していなかった

「ブッダは釈尊だけではない。決して一人の人物を意味していなかった。」 これは、仏教学の大御所、中村元先生の論文である(「釈尊を拒む仏教」)。まさに「目から鱗」であった。かいつまんで、要約してみた。 ①仏教とは「ブッダとなるための教え」「ブッダ…

カルマ(業 ごう)は必ず返ってくる

カルマ(業 ごう)は必ず返ってくる。インドでは、それを〝カラム・カルマ〟という。ヴェーダ哲学の根底にある思想だ。 仏教では、カルマ(業)は、身口意の三業(さんごう)という。ヒンドゥーでは、身と言葉のみ。心は入らない。しかし、言葉と身体は、か…

永遠不滅の実体(仏性、法身、阿頼耶識)を立てる。パーリ仏典と矛盾する。どうしてか。

ブッダの教えは、徹底して「苦・無常・無我」である。そして、四諦・八正道。因縁生起であり、不滅の実体は認めない。パーリ語の経典を読めば、それぞれテキスト的には矛盾と逸脱はないことがわかる。 しかし、大乗仏教になると、「常楽我浄」と大転換してい…

馬頭観音ってなんだろうか

仏教に出てくる神とか明王(みょうおう)の類(たぐい)は、ヒンドゥー教が源である。たとえば、大黒さん、弁天さん、金毘羅さん、毘沙門天などの四天王、梵天、帝釈天、韋駄天、摩利支天、不動明王、愛染明王‥‥数えあげればキリがない。 これらは、もとはヒ…

電車の乗り降りは、30年前とインドもそんなに変わってないなあ

喧騒のカルカッタからプーリーに行こうとした。二等の寝台席を予約してでかけた。 ゲストハウスから人力車で駅まで行く。ものすごい雑踏で人がひしめき合っている。ヨーガ行者が土の中に頭を突っ込んで逆立ちしていた。 ▽駅について、列車を待つ。切符は手配…

インドの宗教事情 シーク教徒

スワルナーリ女史との対話⑤ インドの宗教事情●───インドは、たくさんの宗教があります。ヒンドゥー教、イスラム教、シーク教、キリスト教、ジャイナ教、仏教、ゾロアスター教、ユダヤ教など。シーク教徒は警官とか軍隊とかドライバーには多いですよね。ター…

アヨーディアのヒンドゥーテンプル建設

スワルナーリ女史との対談④ ───モディ首相が、アヨーディアのヒンドゥーテンプル建設を進めましたね。アヨーディアは、ラーマという神の聖地。そこにテンプルがあったのに、イスラム教徒が破壊してモスクを建てた。そしてまた、ヒンドゥー教徒が破壊してテン…

ヒンドゥーの教えは、いつでも始まりがあり、終りがあるん

スワルナーリ女史との対話③ ───「ゼロの発見」はインドですね。スンニャータ。有るとか無いとか、始まりとか終わりとかそういったものを超えている。 「アブラハム系の教え(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)は、beginningがあってendがある。ヒンドゥー…

たくさんのブッダのなかから、釈迦(ゴータマ・シッダールタ)だけをシンボルとして顕彰した。いわば、「釈迦教」と

インド人のスワルナーリ女史とのやりとり② ───ブッダについてお尋ねします。仏教というと、「ブッダの教え」であり、「ブッダになるための教え」です。しかし、ブッダとは、釈迦(ゴータマ・シッダールタ)だけとされてきました。これについてはどうですか?…

インド人とインド哲学のエッセンス、世界情勢の話をする

インド人のスワルナーリさんを訪ねた。よくお訪ねしては、インド哲学のエッセンス、世界情勢の話をするのであった。以下、雑メモから。 ───インドでは、家庭でお寺で川の畔、日々プージャ(神への礼拝。火をともして讃歌やマントラを唱える)が行われていま…

インドの哲学と歴史を語り合う

インドのベンガル出身のスワルナーリ女史を磐田に訪ねる。まことに該博、鋭敏、俊才、ロジカル。熱海での企画会議に疲れたので、頭が整理された。以下は雑談のメモ。 ▽シャクティとは、女性性。女性そのものではなく、いわば流動するものは、女性性。たとえ…

「死後の世界」についての本の企画中

「死後の世界」についての本の企画中。タイトル的には、「死に方を学ぶ」「いかに死んでゆくか」「Peace in Die」とか。 コンテンツとしては、これを初期仏教からみて、どうとらえるかと。 ざっくり考えてみた。①死後の世界はあるのか、ないのか。②あるとし…

〈サイババの旅②〉私を見ると門が閉まる

〈サイババの旅②〉 サイババのアシュラムを訪ねたのは、数年後だった。プッタパルティに着いたのは、夕方。ゲストハウスにリュックを置いて、アシュラムに向かう。 私を見ると、アシュラムの門が閉まる。ん? どうしてだろう?門番のような男が聞く。「おま…

サイババの旅①

〈サイババの旅①〉 なにやら煙臭い。人がどたばたしてわーわー言っている。深夜の2時くらい。となりのマットから炎が出ている。みんながそれを消そうとしている。わたしは下痢のため、まったく動けない。 燃えていたマットは、一昨日前に亡くなった人が寝て…

インド哲学と日本仏教について話してほしい

──こんど、インド哲学と日本仏教について話してほしい。 「いいよ。はじめにガネーシャについて説明しようか」 ──ガネーシャは、日本では聖天さんとして信仰されている。いわば秘仏。なかなか怖い神さまの部類。 「日本だと怖い神だけど、インドではもっとも…

あかりと「3」について論じあった

# まとめるのは3つがいいんだよ 外風呂に入りながら、あかりには、ものごとをまとめる練習をさせている。 ──どうしていやなのか。3つにまとめよ。 ▽ 「うん。①いきたくないから。②いやだから。③そんな気分じゃないから」 ──それは、まとめにならないね。「ど…

外国語の習得

語学について。 発音して楽しいというか、元気が出る外国語がいいな。 たとえば、サンスクリット語。発音しやすいし発音していると元気になる。意味も深淵で哲学的。それと比べるとパーリ語は、荘重さに欠けるかな。 日常で使うことはないけれど、インド哲学…

外国語力

英語はずっと得意だった。文法やリーディングは好きなほうだった。しかし、会話は難しい。だって、英語を使える機会がまったくないんだもの。 そして、英語は試験勉強に使うものとして学んでいて、コミュニケーションツールとしての意識はなかった。読解力を…

いっそ海外に暮らしてしまうという道もある

日本で暮らすのは、やはりたいへんなこともある。暗いし、重たいし、窮屈。いっそ海外に暮らしてしまうという道もある。若かったらきっとそうしているなあ。 ▽ たとえば、いまベトナムって年収20万円くらいなんだよね。ということは、日本円が10倍になると…

無限をさまざまな譬喩で語ろうとする カルパ

インドでは、これでもかこれでもかと、無限をさまざまな譬喩で語ろうとする。 インドのありようが「幻」といわれるゆえんである。「幻」は明確ではないが、イメージは伝わる。ちなみに中国は「論」。論は、明確であるがイメージは伝わりにくい。日本は「絞」…

ぼくと松尾さんによるパーリ語とサンスクリット語のお経

こないだの森林セラピーでは、ぼくと松尾さんによるパーリ語とサンスクリット語のお経。パーリ語は、古代インドの俗語ないし方言の1つで、南伝上座部仏教の典籍で主に使用される言語。サンスクリット語は、いわば文語体。ヒンドゥーの教典、大乗仏教の教典な…

一発でぶんなぐられておしまいだ。かといって、そんな大金は払いたくない

キッチンのほうから、腕に刺青をした巨大でものすごく強そうな男が歩いてくる。 万事休す。 一発でぶんなぐられておしまいだ。かといって、そんな大金は払いたくない。 しかし、逃げたくもない。 どうするか。どうしたか。 ▽ 初インド旅行のとき。年末年始の…

手に中華包丁をもって襲いかかってきた 危うし

店員がいきなり大きな中華包丁(日本の包丁の2倍くらい)で襲いかかってきた。 うわわっ。あぶない。 座っていた丸イスで防御しながら、うしろずさりした。 「まてまて」。店主がその男を羽交い締めして、事なきを得た。 ▽ タイのバンコクの路上。 友人と路…

機内にお金を忘れてしまったインドの旅 さあ、どうなる

ふたりで一緒に夕食してたら(おかずは、もやし炒めだけだった)、 「お父ちゃん、飛行機の中にお金を忘れたことがあるんでしょう?」 あかりが聞いてきた。 ───ああそうだ、そういうことがあったなぁ。思い出した。 ▽ 会社をやめて次の会社に移るのに一ヶ月…

ドーベルマンーけしかけて「買え」と脅された

店の主人は、ドーベルマンを連れてきた。 かしこい犬で、彼が犬に脅せというと、ゔゔーーーと歯をむき出して襲いかかろうとする。 「どうだ。買わなければ、この犬に襲わせるぞ」 ううむ。巨大なドーベルマンだ。怖い。かなわない。 ▽ インドでは、ドル札が…

インドの銀行 現金化してくれないのでモノを売って現金にした

──え!現金にできないって! T/C(トラベラーズチェック)なのに。ここは銀行なのに。そんな馬鹿な。 その町(マトゥラー)には、インディアンバンクとIndian Overseas Bankの2つの銀行しかなかった。 2つの銀行に行言ったが、現金にしてくれないのだ。あま…

カール・リンポチェが「いまここで出家しろ」と言う

ひさびさにインドの旅の体験。インドは、いくたびにディープ。すこしずつ思い出して書いていく。 ▽ 私はかつてはサラリーマン。会社では、海外との貿易、ドイツとイギリスの生産手配、海外物流コストダウン、株主総会対策など、いろいろやらせてもらえた。し…

あらかたの宗教は、形式を伝えている。しかしその本質は?

ある有名な神社にあかりとともに参拝した。 それはスッキリして豪華、歴史のある祭りが継承された拝殿であった。 「あかり、こういう神社はとってもいいんだよ。スッキリしているだろう。このスッキリした感じが大切なんだね」 というのは、数日前の夕方、知…

わたしのイスラム体験①

イスラエルとハマスの戦い。イスラムの残虐性が報道されるのだが、じつのところイスラムの人々はどうか。ぼくは、報道はあんまり信用しない。自分の体験をもとにものごとをみるようにしている。ということで、すこしぼくのイスラム体験を連載してゆく。 ▽西…

通訳をしたインド女性からみた日本のお坊さんたち

ひとり暮らしの友人が、来月一ヶ月間、インドに行く。心配なのが猫の世話。 当初、マヤ暦を研究しているカップルが住んでくれることになっていた。しかし、かたほうがコロナでダウン。その後遺症で無理ということになった。 やはり近所の方にお願いするのが…