キッチンのほうから、腕に刺青をした巨大でものすごく強そうな男が歩いてくる。
万事休す。
一発でぶんなぐられておしまいだ。かといって、そんな大金は払いたくない。
しかし、逃げたくもない。
どうするか。どうしたか。
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初インド旅行のとき。年末年始の休暇を多くとった。高かったが、JALでいった。
ところが、デリー空港は嵐のため着陸できず。バンコクに一泊となった。JALが用意したのは高級なホテル。
しかし暇だ。繁華街に繰り出そうとして、トゥクトゥク(三輪タクシー)に乗る。
パッポン通りという繁華街に行った。
ぶらぶらながら、ポールダンスの店に入ったりもした。
──あ、あそこに小洒落た飲み屋がある。行ってみようか。
その店がなかなかゴージャス。案内された席は、大きなテーブルに椅子が20くらい。
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オンザロックを注文したら、若いきれいな女性がやってきた。「カンパーイ」と飲む。続いて、「ワタシノトモダチ」といってまた新しい女性がくる。「カンパーイ」。そしてまた、「トモダチ」といって新しい女性「カンパーイ」。やがて10人くらいになった。
───むむ。こ、これはアブないんじゃないか。ここは早めに引き上げねば。
マスターを呼んで、会計してもらった。
すると、ものすごい高額な請求書だった。よく覚えていないが、10万円くらいじゃなかったか。
青ざめた。そんな金はないし、そもそも頼んだのはオンザロック一杯だけだ。
───こんな金は払えない。ふざけるな。
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そうしたら、巨大な男がこちらに向かってきたわけだ。
しかし、平然と店をでた。店の階段から大きな声で「ポリースマン、ポリースマン」と大声で叫んだ。大声で叫びながら、ゆっくりと階段を降りていった。すると、追いかけてこなかった。
結局、無銭飲食することになったわけだけれど。ともあれ、翌日はインドにフライトしたのであった。