過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

一発でぶんなぐられておしまいだ。かといって、そんな大金は払いたくない

キッチンのほうから、腕に刺青をした巨大でものすごく強そうな男が歩いてくる。

万事休す。

一発でぶんなぐられておしまいだ。かといって、そんな大金は払いたくない。

しかし、逃げたくもない。

どうするか。どうしたか。

 ▽

初インド旅行のとき。年末年始の休暇を多くとった。高かったが、JALでいった。

ところが、デリー空港は嵐のため着陸できず。バンコクに一泊となった。JALが用意したのは高級なホテル。

しかし暇だ。繁華街に繰り出そうとして、トゥクトゥク(三輪タクシー)に乗る。

パッポン通りという繁華街に行った。

ぶらぶらながら、ポールダンスの店に入ったりもした。

──あ、あそこに小洒落た飲み屋がある。行ってみようか。

その店がなかなかゴージャス。案内された席は、大きなテーブルに椅子が20くらい。

  ▽

オンザロックを注文したら、若いきれいな女性がやってきた。「カンパーイ」と飲む。続いて、「ワタシノトモダチ」といってまた新しい女性がくる。「カンパーイ」。そしてまた、「トモダチ」といって新しい女性「カンパーイ」。やがて10人くらいになった。

───むむ。こ、これはアブないんじゃないか。ここは早めに引き上げねば。

マスターを呼んで、会計してもらった。

すると、ものすごい高額な請求書だった。よく覚えていないが、10万円くらいじゃなかったか。

青ざめた。そんな金はないし、そもそも頼んだのはオンザロック一杯だけだ。

───こんな金は払えない。ふざけるな。

  ▽

そうしたら、巨大な男がこちらに向かってきたわけだ。

しかし、平然と店をでた。店の階段から大きな声で「ポリースマン、ポリースマン」と大声で叫んだ。大声で叫びながら、ゆっくりと階段を降りていった。すると、追いかけてこなかった。

結局、無銭飲食することになったわけだけれど。ともあれ、翌日はインドにフライトしたのであった。