「90になったよ。もうこの年になったら、あれこれと自分から言うようなことはもうやめようと思っているんだ。それでもまだ、一冊、書いておかなくちゃいけない」
郷土史家の木下恒雄さんを訪ねた。
春野町で郷土の歴史のことを聞けるのはいまは、この方しかいない。
もと警察官で、退職してからたくさんの郷土史の本を執筆してきた。20冊は超える。一冊書くごとに500人くらいの人に出会った書いてきた。
すごいのは、ワープロのない時代、和文タイプを独習して原稿を打ち込んできたことだ。その鉛の活字とタイプライターは、わがやに記念に頂いて保管してある。