店員がいきなり大きな中華包丁(日本の包丁の2倍くらい)で襲いかかってきた。
うわわっ。あぶない。
座っていた丸イスで防御しながら、うしろずさりした。
「まてまて」。店主がその男を羽交い締めして、事なきを得た。
▽
タイのバンコクの路上。
友人と路上の屋台の前で、生ビールを飲んで、あれこれ注文していた。
大きなエビが焼かれている。おいしそうな匂いがする。
「これちょうだい」と注文した。
ところが、いくら待っても来ない。
注文を受けた男に聞いた。
「まだなの?」
すると「もう売り切れたよ」と言うではないか。
こちらは、少し酔っている。
「えー。ずっと待ってたのにだめじゃないの」
その店員の額あたりをちょんとつついた。
その店員は、血相を変えてキッチンに走ってゆく。
そして、手に中華包丁をもって襲いかかってきたのだ。
▽
タイでは、他人の頭を不用意に触るとたいへんなことになる。
「いい子だね」と、子どもの頭も触らないほうがいい。
頭に神様や精霊が宿っているという考えがあるのだ。
なので、頭をなでたり叩いたり、つついたり、触ったりするのは、相手にはたいへんな侮辱となる。
そのことを知ったのは、後からのことだった。