過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

金のあるもの、健康なもの、力のあるものは暮らせても、そうでない者たちに

日本は一応は先進国とみなされる。しかし、妊婦や子育て中の女性などに対する配慮はかなり落ちると思う。公共の授乳所など、寒々しくて気の毒。公共バスや電車など、ベビーカーは嫌われる。

こういったことは、子育てをしてみて初めて感じるところ。それまでは、切実に感じてなかった。
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さて、先進国と後進国のちがいは、なんだろう。
先進国とは、高度な工業化、技術水準・生活水準が高い、経済発展が大きく進んだ国家のことをいう。

ぼくが旅した体験では(旅先は、ほとんど後進国開発途上国でしかないけど)、その違いは「社会的弱者に対する配慮の差」にあると感じた。

後進国は、金のあるもの、健康なもの、力のあるものは暮らせても、そうでない者たちには、暮らしはたいへん。
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30年も前のことだが、はじめてタイを旅したときのこと。
バスに乗ったが、「乗り降りのドア」がない。バスは停留所の近くになると、スピードを落とす。降りる人は、飛び降りる。乗る人は飛び乗る。バスは停車しないので、効率がいい。しかし、妊婦や病人、年寄りなどは、いのちがけだ。

切符は、どうするか。女性の車掌が新しく乗った人をちゃんと見つけて、ガシャガシャと切符を切る道具を鳴らしながら近づいてくる。そこでお金のやり取り。

道路にはほとんど信号がなかった。車の混雑の頃合いを見て、道路を走って渡った。車は飛ばすので、危ないこと限りなし。
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ベトナムホーチミン市。バイクが川の流れのように切れ目なし。ものすごい量で信号はほとんどなし。爆竜のようなバイク流れを見さだめて渡る。これは、おそろしかった。足が悪かったり体が弱い人には無理なことだ。

インドあたりは、さらに悲惨。
カルカッタなど、路上で生まれて路上で暮らし、路上で死んでいる人は何百万人といる。夜になると、ズラッと路上で寝ている人たちがいた。飲料水や洗濯や風呂はどうしているかと言うと、路上には井戸の手押し式のポンプがある。みんなそれで、洗濯したり、行水したりしていた。
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バスは、荷物などは屋根の上に積まれる。人が満員のときは、ときには屋根に乗らされる。いちど5人乗りのジープに乗ったとき、総勢30人くらいで運転していた。前の座席に5人。後部座席に10人以上。屋根に10人。ぼくの体の前にハンドルがあった。運転手は体を半分外に出して、そのハンドルを動かしていた。

まあ、ぼくは当時は元気で若かったので、スリリングで楽しい旅であった。いまのように年とって元気ないときには、とても無理な旅である。死んでしまうね。ま、おカネをかければ、それなりに快適で安全な旅が楽しめるわけだが。