過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

利用者さんと俳句づくり

今日のデイ。
朝、迎えに行くとき、ひとり暮らしの方だと、いろいろ戸惑うことがある。
「きょうは、入浴だから、これとこれとをもっていってくださいね。あ、眼鏡ははいってますか?」と。「あら、どこいったかしら」。見当たらない。一緒に鞄の中、家の中を探す。あ、見つけた。でかけるとき、鍵をかって差し上げる。

次もひとり暮らしの男性。「鍵がないので出かけられない」と困っていた。それで、家の中に入らせてもらって鍵探し。「あ、あったあった。鞄の中だ」。
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その次は、耳の遠い方。ほとんど筆談だ。
施設についてもみんなと雑談はできないので、ひとり書道に励む。

自分の俳句を持参された。それを書にするという。たたき台の俳句を一緒に考える。

気田川原 茅の揺れて 穂の秋 深し
※気田川とは施設そばをとおる一級河川。鮎釣りやカヤックなどでよく人が訪れる。

「もっといいふうにできないかね」と聞かれたのて、「句の並びは、こうしたらどうですか」とすすめたのが、

気田川原(けたがわら)茅(かや)の穂の揺れて 秋深し

しかし「秋深し」では、月並だ。

「われひとり」では、どうですか。「う〜ん」。
「つまといて」では?と筆談する。「う〜ん」。
なかなかきまらない。
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なにかいい下の句がないかなあ……。
句をつくったときの情景を聞いていく。川を散歩していて「茅の穂」が揺れていたのは、女の人のかんざしのようなイメージみたいだとかんじたらしい。

それを眺めて味わっているのは、ちょっとした座敷みたいな風情だ。という意味で「浅座敷(あさざしき)ではどうですか」。「うん、それでいこう」ということになった。

気田川原 茅の穂揺れて 浅座敷

全国で書道で一席を取られた達人の利用者さんがいるので、その方に手本を書いてもらう。それをもとに書くことになる。