過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ドイツを旅したときのこと

ドイツと日本人はメンタリティが似ていると言われる。観念的、集団的、規律を重んじる、など。むかし一度、仕事でドイツに出かけたことがある。会社員時代、ドイツの子会社の生産手配から輸出業務をしていたことがあったとき、いちどは出かけてこい、ということで出張させてもらった。半分、物見遊山であったが。

出かけた町はデュッセルドルフ。短い滞在だったが、いろいろ気づかされたことがある。まずドイツ人はきっちりと休暇をとる。スウェーデンでヨットを組み立てて、それに乗ってドイツの港まで旅をするから、まるまる一ヶ月半も休むなんていう話を聞いて羨ましく思った。

土日はきっちりと休む。休日で働いているのは、日本人くらい。海外の日本人は、なにしろ仕事量が多くてしょっちゅう休日出勤していた。行政から目をつけられていた。「仕事しているんじゃなくて、みんなで語り合っているです」と言い訳していると聞いた。

土日は、どこもかしこも徹底して休み。店は土曜日の14時までオープン。それまでに買い物を済まさなくちゃいけない。日曜日は、デパートも閉まっているので、ウィンドウショッピングだ。

仕事環境は、日本人の社員は、ひとつの部屋に机を並べて家族のようにやっていたが、ドイツ人のオフィスはというと、机の置き場所はばらばら。机の周りは観葉植物で埋め尽くして、森の中の城みたいにしていた。さすが、ゲルマン人は森が好きなんだなあと思った。

街を歩くと、とにかく徹底してゴミがない。ゴミ箱は土の中に埋められていた。喧騒な街中でもすこし歩くと、赤頭巾ちゃんの森みたいな鬱蒼とした森があちこちにあった。さすが哲学の国だなあと思った。

町にはほとんど子どもはいなかった。子どもはというと、日本人とかトルコ人の子どもが多かった。ドイツ人は離婚が多いので、子どもを作らないのだと聞いた。それで、犬をとても可愛がっていた。あちこちで、犬を連れていた。ビールをのみに行っても、外に犬をつないで、ジョッキを傾けて大声で語りあっていた。

街を歩いていると、見かけるドイツ人は大きくて骨太。男も女も眼光が鋭い。ドイツ語の発音も、いかめしい。全体にふわっとした和やかな感じがない。それに、北に位置しているので、冬などすぐに夜が来る。寒さも厳しい。なにしろたくましい民族だなあという印象。

こうしたドイツの現地法人を担当していたので、なにごともきっちりとやらないと許してくれない。ということで、かなりいい加減な仕事をしていたぼくも、そこそこ鍛えられたところはある。いまから30年も前のはなしだけど。