過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ひとつの文として作ってごらん。できれば一日一本だよ

あかりの寝かしつけ担当はおとうちゃん。で、20時には一緒に寝る。
いつも二人で、寝ながら本を読む。おとうちゃんは、世界史の本と司馬遼と山本七平の対談、あかりは国語の辞書を読んでいた。
  ▽
「これどういうこと?」と聞いてくるので、煩わしいけれど、それはね‥‥とこたえることにしている。

とにかく、日本語って漢字(漢音り呉音あり)の読み方やら数え方、訓読み、重箱読み湯桶読み、たくさんのバリエーションがある。法則なんてないようなものだから、そのまま覚えるしかないのだ。
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あかりはいま二年生だが、もう一年以上学校に行ってない。

──あかり。まずは言葉をたくさん覚えること。漢字が読めないと本が読めない。六年生くらいまで一気に漢字を覚えてしまえ。
「うん」

──それと、作文だよ、文章が書けたら総合力が生まれる。説得力がつく。
「うん」

──“ごはん食べておいしかった”みたいんじゃなくて、論文だよ。言いたいことをスパッと書くんだ。一言でいう。それがたいせつ。
「うん。どんなこと?」
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──自分のことを説明してごらん。
「ううんと。あかりは不登校児です」

──それだけだと伝わらないないよね。たとえばこうだ。
わたしはあかりです。8歳の女の子です。春野町という山里に暮らしています。学校に行っていません。なぜなら、学校がつまらないからです。
「ああ、それだね」

──じゃあ、どうして学校がつまらない?
「ううんと‥‥自分のペースで学びたいのに一斉授業だと、時間の無駄だから。それらあそびたいし」

──どうしたらいいと思うの?
「むつしい」

──あそびたい人は思い切りあそぶ。学びたい人は学ぶ。教室には学ぶ場所があって先生がいる。そこに学びたい人がいく。遊びたい人は遊んでいる。そんな学校がいいと言っていたよね。
「うん」

──たとえばそんなことをひとつの文として作ってごらん。できれば一日一本だよ。おとうちゃんが、読みやすいようにみてあげる。

まあ、そんな話をして眠りについたのであった。