過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「いまから学校に行く」 突然、あかりが言い出した。

「いまから学校に行く」
突然、あかりが言い出した。

昨夜、寝る前に「明日、学校に行こう。担任の先生と校長先生に会いに行かなくちゃ」と言うと、いつも「行かない。いやだ」というのに、その時は「うん」と合意してくれた。

でも、朝になると「やっぱり行かない」とあかりは言う。
うちは「気持ちは変わっていい。そのときの気持に正直に行動すればいい」という育て方なので、それでいい。

「うん、わかった。仕方ないなあ。じゃあ行くのはやめるか。」
  ▽
ということで、おとうちゃんは仕事に集中。報告書づくりなどに手をつけだした。
仕事が佳境に入っているとき、あかりは「やっぱり学校に行く」と言い出した。

「だめだよ。もうおとうちゃんは、仕事モードに入っているので、行かない。別の日にしよう、学校は行かないよ。」

そう言い切った。「いや、行く。行く」と言い出す。「だめ、やめとこう」というと、「行く」と言い張る。
「仕方ないなあ、じゃあ行くか」ということになる。

急に行ってもあちらの体勢もある。学校に電話すると、校長が言うには、あれこれと連絡会議やらで先生方はタイトらしい。それでも、「あかりがいきたいというので、顔を見るだけの立ち話でも」とお願いして連れていく。
  ▽
さて、学校の門までくると、あかりは「やっぱり気が引ける」と言い出す。
ぐずぐずしていると、あかりをみつけた校長先生が声をかけてくれた。
「あかりちゃん、よく来てくれたねぇ」と大歓迎。
そこに、新任の教頭先生もきて話してくれた。算数を教えてくれるという。

「じゃあ、あかりちゃん、保健室で体重と身長を測ろうか」と校長先生。保健室の先生も来てくれた。その勢いで、一緒に図書館に行く。本を見ていたら、そこに、同級生のNちゃんが見つけて、あかりのそばにやってきて、抱きしめた。ひさしぶりに会って嬉しかったんだろうな。

クラスは図書館のすぐ近くだ。「通りかかるだけでいいから」と、無理にあかりを引っ張って、一年生のクラス、二年生のクラスの前を通ることにした。

教室から「あ、あかりちゃんだ」という一年生の声。
おとうちゃんはみんなに「やあ、こんちわ」と、声をかける。

次に、いよいよ自分のクラス(二年生)だ。やっぱり引け目があるようで、あかりは尻込みしていた。
「いいから、いいから。通るだけだし」と、クラスの前を横切る。

すると、ちょうど担任の先生が、ミッキーマウスの人形で「これでおーしまい」「ツァイチェン」(再見:中国語)と大声で挨拶の時だった。
あかりを見つけて、先生が声をかけてくれた。それで、そのまま教室内に入る。クラスの7人中5人は、あかりと一緒にキックボクシングのクラスに通っているので「あとで会おうね」と別れた。

担任の先生はとってもフランクな方で、話しやすい。キックボクシングにも通っているので、そこで出会ったりもしている。あかりにとっても、いい出会いだ。
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帰りに校長室に寄る。「いつでもいいので、週に一度でもきてくれれば、担任や教頭があいている時間に、教科を教えられる」という校長の提案。

まことにありがたいこと。まあ週一、都合のいいときに学校に行って、その間にこなした問題集をみてもらう。学習の成果をもとに、苦手なところをワンポイントで教えてもらう。

そんな学校の活用の仕方もいいのかなあと思っている。とはいうものの、なにごとも、あかり次第なんだけれども。