あかりは学校に行くのはやめた。ので、いつも家にする。
しかし、そうなると賑やかすぎる。
おとうちゃんは編集の仕事、おかあちゃんは事務とNPO法人やら一般社団法やらの決算で忙しいのだ。
あかりは、ほっておかれる。すると、「みてみてー」「あそんでー」「どうやったらいいのー」とまとわりついて、仕事に手がつかない。
「ええーい、うるさいなあー」とどけると、またやってくる。それを繰り返しているうちに、やがて取っ組み合いのプロレスになる。泣き出す。仕返しに蹴っ飛ばしにくる。
とはいうものの、あかりは午前中はダンボールの工作に打ち込んでた。そうして、つぶやいていた。
「それにしても、きょうはお父ちゃんとおかあちゃんは、いつになく喧嘩してないねえ」
──「それにしても」などという表現を使えるようになったか。お父ちゃんは感心し笑えた。
妻が言う。
──おかあちゃんとおとうちゃんは、感覚が違いすぎるの。
「そうだよねー。わかるわかる」
あかりは、つねにおかあちゃんの味方だ。
「それにしても、どうしてあかりが生まれたの?」
──それはねえ。神のはからいってもんだよ。
「おとうちゃんとおかあちゃんは仲がよかったんだ」
──そうだね。最初の頃はね。いまでも仲が悪いわけじゃないよ、いろいろ意見をお互いにバンバン言うので、衝突があるってワケだね。
「でも仲良くしてて子どもが生まれるって、不思議じゃないの」
──うん。そこがまた不思議なことでね。まさに、神様のはからいってもんなんだよ。
あかりがいるおかけで、おとうちゃんとおかあちゃんは、幸せに暮らしているし、学ぶことがいっぱいあるので幸せってことだよ。