「マザーテレサについて」
①世界から莫大な寄進は、みんなバチカンに寄付してしまった
②地元のカルカッタ(コルコタ)では、たった一つも診療所も作っていない
③マザーは宗教家であり、経営者ではない、政治家ではない
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マザーテレサは、その生き方を通して、多くの人の心の支えにもなっている。死にゆく人に対して心から寄り添い、最期の瞬間に本当に祝福をして、その人の人生が良かったと全うさせてきた。
また、身寄りのない孤児を預かったり、たくさんのシスターを育てたり、海外でたくさんの講演をして人々を勇気づけてきた。その生き方は、本当にすごいと思う。
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ただ、わたしはよくインドを旅しているので、現地のインド人からいろいろな話を聞く。
そういうなかで、こういう話がある。
マザーは、世界から莫大な寄進を受けた。しかし、マザーは診療所をひとつも作っていない。医師も育てていない。クスリも配っていない。カーリーテンプルの境内に借りてつくった「死を待つ人の家」と教会があるのみ。
インド人からすると「あれだけのお金を寄進されたんだから、病院の1つも作ってもらいたい」という気持ちもあるだろう。
ところが、マザーはすべての寄付をおそらくバチカンに寄進してしまった。バチカンは絢爛豪華な、大金持ちで世界の権威中の権威である。そのバチカンは、マザーを聖者として認めた。
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マザーは、ノーベル平和賞をもらったことで世界に知られ、世界的な偉人となってゆく。マザーは宗教家であり、経営者ではない、政治家ではない。あらたに病院を作ったり大学を作ったり学校を作ったり医師を育成したり、そんなことには興味がなかったろうし、なにより時間も余裕もない。
また、経営的なサポートをする人もいなかった思う。ただひたすら死に行く人に尽くすという人生を全うしたのだと思う。それはそれですばらしい。
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インドにはいろいろなグルがいる。例えばサイババなどは多くの信徒がいて、莫大な寄進があった。それによって飛行場を作り、病院を作り、学校を作り大学を作り、世界の人が宿泊できる施設もたくさん作っている。
また南インドのケララ州のアンマ(マータ・アームリター・ナンダマイー)も例えば慶応病院の100倍ぐらいの大きな大病院を建設してお金を取らない医療をしている。専門学校、たくさん単科大学も作って、いまではおそらくインドで数的には一番大きな学校法人になっているようだ。おそらく授業料も入学金も取らない。
私も学生を連れてお手伝いしたこともあるが、貧しい人のために家を作るとか様々な社会奉仕活動をされている。
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その人の宗教性によって多くの信徒が集まりお金も集まる。それをインド国内で見事に循環している。人材を育成している。そういう方もおられる。
自分のビジネスに熱心で自分のアシュラムだけ豪華なリゾートのようにして君臨しているグルもいる。いろんな宗教的な指導者とか瞑想の指導者がいて、そのあたりが多彩で、そこがインドの面白いところ。
※宗教とお金については、また別の機会に投稿する。マザーの孤児院の人身売買の疑念もあるが、そこはデータがはっきりしないので、踏み込まない。