過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

出版社が倒産した

親しい出版社が倒産した。上座仏教や瞑想本や月刊誌など刊行してきた。群を抜いて矢継ぎ早に良書を出してきた。この分野では日本一になるんじゃかろうかと思った。

ところが昨年、社長が会議中に急死された。ワンマンで舵取りしてきただけに、今後の会社の運営は大丈夫かなあと思っていた。
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出版は難しい。なにしろいまは本が売れない。本は読まれない。
本が売れないのに、本の出版点数は増えるばかり。

どうしてそうなるか。
出版する。全国の書店に並ぶ。売れないので返品。
新刊を出荷した時点で、流通会社(東販や日販)に売上が立つ。しかし、たくさんの返品がくる。在庫が貯まる。

資金繰りのために、次々と迅速に本を出さざるを得ない。まさに「自転車操業」ということになる。ペダルを漕ぐことをやめたら、自転車は倒れてしまう。

「出版する予定の本が、でなくなった。なんとか、今月か来月すぐに出せる本がないか、紹介してほしい」と、よく社長から電話があったものだ。その都度、こんな本があるよ、こんな本の復刻はどうかと、紹介したこともあった。
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債権総額 1億円以上。債権者は約300社(者)以上。債権者は、著者、ライター、編集者、校正者、流通会社、印刷・製本会社など多岐にわたる。自己破産となった場合、ほとんどの債権は回収されず、泣き寝入りとなる。

「出版は博打だ」と、ある親しい出版社の社長は言っていた。当たれば大儲け。外れると息がつげない。社員をたくさんかかえていると、人件費が重たくのしかかる。

経営者は身を削る思いで、薄氷を踏むおもいで舵取りとなる。そこがまた、なんともスリリングで面白いのだと思うが。