過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

憲法前文(5)政治道徳の法則

憲法前文(5)「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」

前段は一読して意味がわからない。センテンスが長い。そこに主語がたくさんあるからだ。主語は、「われらは」「いずれの国家も」「政治道徳の法則は」「この法則に従ふことは」の4つだろう。ワンセンテンスに主語が4つもあれば、錯綜する。

短文に整理するとこうなるだろう。「われらは次のように信ずる。いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない。政治道徳の法則は、普遍的なものである。この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務である。」

もうひとつわかりにくいことがある。「政治道徳の法則は、普遍的なものである」と突然いいだしていることだ。「この法則に従ふことは各国の責務である」とも言う。

「普遍的」であり「各国の責務」というからには、すごく大切なことなんだろう。では、それいったいなにか。その内容はどうもあいまいである。

おそらく文中に出てくる「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」ということなのだろう。そうだとしたら「自国のことのみに専念して他国を無視してはならないという政治道徳の法則」としたほうがわかりやすい。

そうして、「全力をあげて達成することを誓う」という。「この崇高な理想と目的」というのは、なんだろうか。

「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という、この政治道徳のことだろうか。あるいは、これまで述べてきた、平和的に生存する権利であるとか、主権在民だとか、そういうすべてのことをさしているのだろうか。よくわからない。

憲法とは国の最高法規なんだから、だれにでもわかやすいような文言であってほしい。けれどもこれまでみてきたように、文章がわかりにくい。まず、わかりやすいように、よみやすいようにしなくてはいけないと思う。