過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

草創期の創価学会は、呪物的なものオカルト的な要素が相当にあった

草創期の創価学会日蓮正宗大石寺の外護団体)は、呪物崇拝的なもの、オカルト的な要素が相当にあった。

たとえば、「御肉牙(おにくげ)」である。

戸田城聖創価学会第二代会長)は、言っている。
日蓮正宗大石寺には、日蓮の歯がたいせつに保管されている。その歯には肉がついていて、700年経っても腐敗せず生きている。肉が盛り上がってきている。脈打っている。汗かいている。生きているのです。前代未聞の秘宝である。孫子の代まで語り草にせよ」と。

戸田城聖の話は、確信に満ちていてユーモアがあり、あたかも村祭の香具師(やし)のように客(信徒)を惹きつけた。以下、その講演を示す。
--------------------
御本山には、御肉牙という秘宝がある。これは前代未聞の秘宝です。

 身延がどんなことを言おうと、立正佼成会がホラをふこうとも、この御肉牙だけは、どこを捜そうともない。身延の連中は、どこかに御肉牙はあると言っているが、あったとしても、この本物の御肉牙は、お山だけにしかない。

 御肉牙というのは、日蓮大聖人様のお歯である。日目上人が大聖人様のおかたわらにいられると、大聖人様のお歯がグラグラしておられ、その歯をとり、それを日目上人に差し出された。日目様は、これを衣の袖で受け取りあそばされた。

そして、これには、下のところに肉がついていた。この肉がぜんぶ、広宣流布の時には、歯を包まれろだろうと予言あそばされている。年々肉が太ってふえていく。これは医学上説明のできないことだと思う。

このお肉は、しだいにふえて、歯を包んでいる。たしかに生きている。まことに不思議である。)これは世界のどこにもない不思議なものである。妙である。この実態を見たならば、広宣流布は間違いない。明らかである。広宣流布されてしまえば、消えてしまうもので、いまこそ拝む時期である。

孫子の代まで語り草に、広宣流布のしるしですから、御肉牙を拝観しなさいよ。

─昭和31年1月31日 本部幹部会 戸田城聖先生講演集(下)より─
--------------------
今度の4月20日から、お山においても、御肉牙(おにくげ)の拝観が許され、この御肉牙というものについて、これは不思議なものだ。話だけは、なんべんも聞いたかしらんが、もういっぺん言います。

日蓮大聖人様御在世の時に歯を抜いた。その抜いた歯の下のほうに肉がちょっぴりついておった。ところが、この肉が七百年のあいだに、だんだんだんだんふえて、ちょうど、まさに歯を包まんとしている。これは説明つきますか。しかも脈打っているのですよ、汗かいているのですよ、生きているのですよ。こういう不思議なものはありますか。

身延が威張ったって、仏立宗がなんと言ったって、こういうお歯は、富士大石寺以外は絶対にない。それから、仙台からも、福運あってこの御生骨を拝観する方々は、帰ったら、わが目で見てきた、その実態を、みんなに話して、わが日蓮正宗の誇りとして、語り伝えてもらいたいと思います。
─昭和31年4月1日 『戸田城聖先生 講演集 下』仙台支部旗返還
--------------------

さらにまた、オカルチックなものとして、「護秘符」がある。

池田大作が書いたとされる小説「人間革命」(第七巻)から引用する。

戸田は護秘符の由来を説き、日蓮大聖人が御母の重病の折り、最初の護秘符によって救い、すでに終えるべき寿命を四か年延ばしたことから、これが代々の猊下に相承され、日蓮正宗の秘法とされているものであることを説明した。そしてその使用法を教え、彼自らが願主となって、総本山の猊下に下附の手続きをとってあげるのだった。
「後で必ず報告をしなさい」
母親はいくたびも礼を繰り返して去っていった。
報告は数日後にきた。――指導通りに護秘符をいただいた翌朝、出血は完全に止まっていた。血の気を失っていた子供の頬には、うっすらと赤味さえさしていたというのである。
--------------------

どんな宗教にも、オカルティックなものが存在する。キリスト教など、イエスは処女から生まれた神の子であり、いちど死んだが三日後に蘇ったという宗教なのだ。
まあ、そのあたりは「不合理ゆえにわれ信ず」(キリスト教神学者テルトゥリアヌス)の世界でもある。

ともあれ、戸田城聖があってこそいまの創価学会がある。

戸田は戦中に壊滅した創価学会創価教育学会)を、戦後からたった10年余で信徒数を75万世帯にまでもっていった。国政(参議院)にも乗り出し、3名当選させている。

御肉牙の講演のあった昭和31年、創価学会は、第4回参議院議員通常選挙に6名の候補者を擁立、大阪支部長の白木義一郎ら3名が当選している。

そして、次のように述べている。
「われわれが政治に関心をもつゆえんは、三大秘法の南無妙法蓮華経広宣流布にある。すなわち、国立戒壇の建立だけが目的なのである」とも語っている。

国立戒壇に掲げるのは、「三大秘法の南無妙法蓮華経」=「戒壇の御本尊」=「板曼荼羅」である。その本尊もまた、「御肉牙(おにくげ)」のようなもので、おそらく後世の偽作であろう。このあたりはまた、物理的にも書誌学的にも、論じていきたい。