過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

山里の魅力発信の事業計画なんだけど

浜松市は、9年前に周辺の2市8町1村を編入した。人口は80万人を越え7年前に政令指定都市となった▲端から端まで車で2〜3時間はかかる。編入された地域は、旧浜松市よりも広い。面積は1500平方キロと、日本で最も広域な面積の市のひとつとなった。愛知県と長野県に隣接している▲ヤマハやスズキ、浜松ホトニクス、ローランドといった企業があるまちと、ほとんど過疎地で熊や鹿の出てくる山間部もある。

人口の推移は、浜松市トータルでみれば、過去10年間で2%ちかく増えている▲けれども、編入された旧市町村では、図のように10〜30%も減少している。加速している。放置していけばますます人口は減っていく。すでに高齢化率は30〜40%。ちかい将来70代、80代の高齢者ばかりだ▲しかも、仕事はない、暮らしは不便、学校は廃校となれば、若い世代は住もうとしない。やがて集落は消滅していく。

編入された旧市町村には、地域の特色がある。急峻な山間部、なだらかな中山間部、蕎麦の産地、お茶の産地。それぞれ独自な地域政策があった▲それが、浜松市編入されたことによって、「一律平等」政策となる。自分たちの町としてやってきたことが、浜松市の中央の政策に従う。それぞれの旧市町村の独自性が発揮されにくい▲そして、役人たちほとんどが、まちなかに住んでいる。生活実感として、山間部のことはわからないと思う。

いま定住促進がたいせつなことは、明らかだ。しかし、なかなか身動きはとれない。合併したことで、それまでの町としての一体感、特色を出した政策がとれない▲市の広報をみても、浜松の都会的な工業や商業の魅力を発信するものばかり。中山間地の魅力を発信するものは、ほとんど見られない。

そのあたりをなんとかしたい。市の広報に埋没してしまっている山里の魅力を、全国に発信したい。山里の人の暮らしを伝えていく。山里に訪れる人を増やしていく。増えるばかりの放置空き家を見つけて、管理して、都会の田舎暮らしを希望している人につなげていきたい▲ということで、NPO法人楽舎をたちあげたのが一年前。この間、事業計画ばかりを組んでいるけど、事業の採択はされていない。採択してくれたら、存分に動けるのになあと思う。けど、まあこういうことは、縁がなければすすまないことなんで、できるところから少しずつ。