過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

浜松市の合併と区の再編、天竜区はどうなる

①過疎の山里に暮らすと、政治力学、人々の意識の流れが見えてくる。東京暮らしでは、そうした問題意識はまったくなかった。浜松の区の再編問題について考えてみた。

②平成17年、浜松市は、2つの市と8つの町村を合併した。大合併の目的は、浜松市政令指定都市になりたかったからだ。政令指定都市の条件は、人口が80万人を超えること。

政令指定都市のメリットは、大きな権限と財源をもつことにある。条例が制定できて裁量権は拡大する。道路整備、都市計画、教育など、独自にできる。

④合併された旧市町村は、「寄らば大樹の陰」で、大都市の浜松の財力の魅力が大きかった。

⑤しかしいま、浜松市は区の再編を論議している。再編の要は、「過疎の中山間地の天竜区をどうするか」ではなかろうか。

政令指定都市になるために人口がほしかった浜松市だが、天竜区は過疎高齢化が著しい。なにより自然災害。がけ崩れ、橋の崩壊、道路の崩壊など、これまで何十億という金がかかってきた。これからも、自然災害は増していくばかり。

⑦金ばかりかかって、老人ばかりの天竜区を抱えるのは、都市経営の健全化の足を引っ張る。ババ抜きのババだ。

⑧なので、天竜区は除外したい。特別区として、浜松市とは切り離したいのだと思う。「すでに政令指定都市になった。あとは知らん」と。

⑨多くの住民は、浜松市と合併したことを後悔している。浜松と合併したために、アイデンティティーをなくし、村としての統一人格がなくなった天竜区である。「寄らば大樹の陰」の甘い見通しが裏目に出たわけだ。

⑩ここで、浜松市と切り離されると、どうなるか。自立できる力量はすでにない。行政サービスは低下し、ますます衰退していくことになる。

⑪この機に天竜区は独立して、独自の権限をもち、山里の魅力を発信していく可能性はないことはない。しかし、いちばんの弱点。それらをまとめる人材がいない。リーダーがいないことだ。

⑫ということで、ますます「寄らば大樹の陰」「長いものにはまかれろ」というありようが深まるとみている。この山里に暮らし、どうなっていくのか見続けていく。