※いよいよヴィパッサナーの実践の指導に入る。映像があればわかりやすいが、文章にするとわかりにくいと思う。スローモーションと実況中継の二つがポイント。
私などは、なんでもすばやくやるのがいい、という生き方をしてきた。「拙速を尊ぶ」みたいな生き方をしてきたのでザツである。
なので、スローモーションとか丁寧なことは苦手である。長老が言われるように「心が燃えすぎる人はいくら言っても早くやってしまう」というところだ。
そのあたり、心のありようの改善につながるかなあと思う。
以下は、スマナサーラ長老の指導である。
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◉物を動かす
はい、では一つのレッスンをやります。
「物を動かす」ということです。
物を取ります。これをこちらに置いて、動かしてみます。
その間に、何も思考しません。
その代わりに、頭の中で実況中継します。
しかもスローモーションで実況中継するのです。それは、妄想に対して邪魔をさせるることになります。
実況中継は動詞だけ。名詞は使いません。
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ちょっと見てください。
手はこういうふうに置いておいて、上げる・上げる・上げる。伸ばす・伸ばす・伸ばす。下ろす・下ろす・下ろす。取る・取る・取る。つかむ・つかむ・つかむ。
あげる・あげる・あげる。運ぶ・運ぶ・運ぶ。下ろす・下ろす・下ろす。置く・置く・置く。離す・離す・離す。あげる・あげる・あげる。戻す・戻す・戻す。下ろす・下ろす・下ろす。置く・置く・置く。
こうやって、スローモーションで実況中継していくと、考えることは相当少なくなります。もしも考えることがゼロになったら、びっくりするほどの結果が出ます。それには相当なコンセントレーション(集中)が要ります。
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動詞だけで実況中継します。繰り返しやります。すべては妄想しないためです。
上げる・上げる・上げる。伸ばす・伸ばす・伸ばす。下ろす・下ろす・下ろす。取る・取る・取る。上げる・上げる・上げる。運ぶ・運ぶ・運ぶ。下ろす・下ろす・下ろす。置く・置く・置く。離す・離す・離す。上げる・上げる・上げる。戻す・戻す・戻す。下ろす・下ろす・下ろす。置く・置く・置く。
手を元に戻す。これをスローモーションでやるんです。
早くやってしまうと効果がないんです。実況中継は頭の中でやります。声には出しません。
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このようにスローモーションで頭の中で実況中継していくと、その間に心が静かになります。心がオリジナルポジションになろうとするんです。
これで、日常の悩みなんか消えてしまいますよ。
悩みと一緒になって戦う必要はないんです。
これが一つのレッスンです。これが脳の開発にもなります。
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では、みなさんにやってもらいます。
何かしらのものを自分の前に置いてください。それから前半は運ぶ。後半は元に戻す。元に戻す場合は文字通りに元に戻します。これはちょっと難しい。前にあった通りに1ミリの差もなく元に戻さないといけないんです。
元に戻す時は、文字通りに元に戻してください。次に自分の利き手をこういうふうに置いておいてください。利き手も元に戻すんです。これはできるだけ目で見ないでやります。
例えばこうやって元に戻すでしょ。目で見ないでちゃんと元に戻す。できるだけスローでやるんです。
速くやってはいけません。いかにスローでやれるのかなんです。
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心というものは燃えすぎなんです。もう役に立てない状態です。燃えすぎる人はいくら言っても早くやってしまいます。
このスローモーションの実践をすると、燃えている心の火が消えるんです。
(各自の実践に入る)