ひとコマひとコマの動きで実況中継する
スマナサーラものがたり(68)瞑想について⑫
瞑想というのは何のためにするのか。現実的な人間になる(Be in real presen)ためです。
それが瞑想。Be Realityです。
そのために、「ヴィパッサナー」という瞑想法があります。
ヴィ=よく、ちゃんと、微細に パッサナー=観る
微細に自分自身を観るということです。
たとえば、呼吸に意識を向けます。
呼吸に気がつく。吐く息、吸う息に気づく。
また、吸うことで体が膨らむ、吐くことで体が縮む。
膨らみ、縮みに気がつくというところを観ていきます。
更に細かく観ていくわけですが、それはまた別の機会に説明します。
ここでは暮らしのなかで、動きの中で実践できる方法を紹介しましょう。
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こういう方法です。
〈からだ〉を動かすのですが、けっして機械的な反応としておこないません。
ポイントは、「スローモーション」と「実況中継」です。
たとえば、なにかものを取るとします。
たったこれだけのことです。
そのときに、「スローモーション」と「実況中継」を行うのです。
携帯電話をとるとします。
「スローモーション」で動くのです。どれくらいゆっくりかというと、あたかも瀕死の重病人が、やっと動けるようなゆっくりとした動作です。
その際に、心のなかで「実況中継」していくのです。
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こんなふうにやります。
手を伸ばす、伸ばす、伸ばす。
つかむ、つかむ、つかむ。
あげる、あげる、あげる。
はこぶ、はこぶ、はこぶ。
おろす、おろす、おろす、と。
コマ送りのように、一つひとつの動作を「実況中継」します。
※スマナサーラ長老のインタビューをもとに池谷が構成しています。