過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

夫を亡くした方に出あったので、しばし立ち話

保育園にあかりを連れている帰りに、近頃、夫を亡くした方に出あったので、しばし立ち話。

いまはひとり暮らしになった。出会うたびに、寂しそうな風情が漂ってくる。もう80はこえておられる。
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「寂しくなりましたねぇ」と声をかける。

「そろそろ、祭が近づきますね。お父さんが祭りが好きだったなぁ、と思い起こされて、つらいですよ。

暑ければ暑い時、こんなことあったなあ、寒ければ寒いなりに、こんなこと言っていたなあと、思い出すんです」。
そう言っていた。

「月日が、年月が癒やしてしてくれますね」。

「一年、三年、五年、十年と月日が立つと薄れていくんでしょうね」。
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「でもね、亡くなったということは、肉体から離れたということですよね。思い出したとき、いつも心にすっとお父さんが浮かんできますよね。亡くなったことで、いつも一緒にいるみたいですよね」。
そう言ってさしあげだ。

「たしかにね……。いつも、心にいますよ。今までいろんなことを散々言われ、文句も言われてきまた。みんなからあなたは、よく耐えてきたねと言われてきたんですよ。

でも、不思議なことに、亡くなったことで、そういったつらい体験が全部なくなってしまいました。いまは楽しい思い出ばかり。そして、つらかったことも、楽しいことになりました」

……そんな立ち話をしたのだった。