床の間の壁に貼ってあるのは、阿多古和紙だ。書の掛軸がよく合っている。とっても雰囲気がある。こうした和紙の利用法があったか……▲Yさんのお宅を訪ねる。寄り合いの場として、心からのおもてなしをされている方だ。この和紙は、大城忠治さんが作られたものだという。
ぼくも大城さんから和紙を頂いていたが、なにか書くにしても勿体ない、描くものも、書にするものもない。ということで、そのまま保管したまま。そうだ、こんなふうに壁紙に使わせてもらうのがいいかと思った▲かつて数十軒もあった阿多古和紙は、いまは大城忠治さん一人しかつくる人はいない。おそらくは浜松市で和紙を作る人は、大城さんだけだろう。
その大城さんも、とってもお元気とはいえ、85歳になられる。後継者がいないと、技術の継承は途絶えてしまう。和紙作りを体験したいという若い人はいるが、とても〈なりわい〉としてはやっていけない。だから、続かない▲そのためには商品開発だ。販路だ。たとえば、こうしてYさんのところの床の間のように、壁紙に使うという活用法もあるんだなあと思った。