過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

当時のそれぞれの生き方の断面。そのシーンでズンと浮かんでくる

久しぶり。10年ぶり、20年ぶりの出会い。
国立に20年も暮らしていたので、いろいろな出会いがあった。物語があったよ。

ぼくを一目見るなり、

「あれあれ、そんなに痩せちゃって、大丈夫?」

──ごほんごほん。空咳が半年も続いているし、多分、長くないような。ゴホッゴホッ。

そう言いいながら昔の話で盛り上がる。
  ▽
その時その時のシーンが、写真となって頭のメモリーからでてくる。
そういうスナップ写真的なシーンが、なにかの機縁でザザザっと浮かんでくる。

どんな雨が降っていて、どこに佇んでいて、空の様子、夕暮れの感じとか。その時の自分の気持も入っている。

「仕事で帰れなくなった。アパートの鍵が開かない。娘が外で泣いていると思うので迎えに行ってほしい」と頼まれたことがあった。娘さんは、6つかな。

クルマで迎えに行くと、雨の中、娘さんは大声でありったけ泣いていたっけ。そんな様子が鮮やかに蘇る。
  ▽
ああこういうことあったね、あんなことあったねと、次々と昔話に花が咲いた。昔を懐かしむというのではなくて、当時のそれぞれの生き方の断面。そのシーンでズンと浮かんでくる。

その方は、当時の娘のことを思いだし、「当時の娘が不憫で不憫で‥‥」と。娘に電話したそうだ。シングルオペだったしね。

もう36にもなるそうだ。え?30年前のこと! 今は田舎暮らしして、パートナーと南信州に古民家を買って、家の改修を楽しんでいるようだ。