オウムの備忘録(5)
どうみてもヘンでしょう。もともとヘンだったから、もともと麻原はおかしかったから。そういう見方もある。それは、いまからみると、ものすごくヘンなんだけど、当時は、そんなでもなかった。
初期の麻原は、その語る言葉や著作を偏見なく読むと、そんなにおかしくはない。当時の新新宗教のなかでも、阿含宗とか幸福の科学とかと比べてみると、魅力があった。
ヨーガと原始仏教、大乗もさらには密教をつなごうとする試みなど、興味深かった。そして、ヨーガの哲学、瞑想体験のリアリティをつたえていた。それこそ、吉本隆明、中沢新一、荒俣宏、ビートたけし、島田裕巳らが絶賛するような背景があったのだと思う。
どうしてオウムに、若くて優れた頭脳の持ち主が帰依していったのか。その魅力ははどこにあったのか。そうして、なぜあんなに暴走していったのか。どうしてあんなになっちゃったのか。麻原はどこで間違えたのか。そこをみていきたい。