過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

いつもお寺の本堂に向かって「ご先祖さま、行ってまいります」

99歳のFさん。朝になって、「体調がいいので施設にいきたい」というとき、お迎えに行く。週に2回ほど、来ていただいている。
すんなりとクルマには乗り込まれるが、下りるときが一つの山場。「足が痛い」「このまま休んでいる」ということで、なかなか施設に入ってくれない。毎回、これは試練。「もう帰る」というので、迎えに行って、そしてまた送るというときもあった。
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クルマの中へ歌詞カードとギターを持ち込んで一緒に歌ったり、冷たいジュースを飲んでもらったり、筆談したり。頃合いを見て、えいやっとクルマから下りてもらう。これもひとつのワザ。
下りて施設に入ってくだされば、あとは一緒に歌ったり、丸三角四角 のマンダラの塗り絵をされる。「おしん」を見るのも楽しみにしている。
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とても無邪気な方で、微笑ましい。水を飲んで「ああー、おいしいやぁ」という一言でも、みなさんから笑いが起きる。
歌が好きなので、よく一緒に歌う。古い曲を選ぶ。「水師営」「桜井の別れ」「人生の並木路」「蘇州夜曲」「浜千鳥」「東京だよおっかさん」「籠の鳥」「喜びや悲しみも幾年月」など、次々と。歌詞をよく覚えている。
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菩提寺の前を通る時、いつもクルマの中から、お寺の本堂に向かって「ご先祖さま、行ってまいります」「ご先祖さま、一日ありがとうございます」と合掌して祈られる。