過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

人生航路マップ

「人生航路マップ」づくりを行っている。利用者さん一人ひとりのマップ。
縦軸と横軸。縦軸に、どういう人生を歩んでこられたか。人に歴史あり。横軸に、兄弟、子ども、孫そして親戚、地域の友人たち。いまどういう人たちと交流があるのか。
「自分史」づくりみたいなもので、その方の生きてこらた歴史を通して、世の中の動きもみえてくる。その人の人生テーマみたいなものが浮き上がってきたりする。
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ぼくは聞き役。本人が語ってくれることが主眼。セラピーではないので、話を深めていくための素材作りとして。
聞き流しではなくて、図に表していくとわかりやすい。
「孫が出産予定だ」と聞けば、「ああ、川崎におられる長女の○○さん。二番目の娘さん。上の娘さんは、○○ちゃんでしたね」というふうに確認できる。そこからまた、話は広がっていく。
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少しずつ作っていく。いつ生まれましたか。戦争のときは何歳。ご主人はどんな人。何年前に亡くなったんですか。お仕事は。どうして、この山里に来られたんですか。長男はいまどこに。
そんなこを聞いていくと、一つひとつのドラマがある。パズルが埋まっていくようなおもしろさもある。「ああ、この人がこの○○さんなんですね。なあるほど」。
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Tさん(86歳)は、戦争で両親をなくした。病弱であったが、山里に嫁いで、炭焼やら山仕事に精を出した。働きづめで、いいことなどひとつもなかったという。
マップをつくっていくと、子どもたち、孫たち、彦たち、子孫たちは20名以上になる。みなそれぞれ、おばあちゃんと慕ってくれている。
近所の人たちも、いい人ばかりで、ほとんどがひとり暮らし。それぞれがお互いに食事会、井戸端会議、立ち話をしては過ごしている。
「これって、とっても豊かな人生じゃないの」と言うと本人は、「いいことなんか、ひとつもなかったよ」と笑う。
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自分ではたいしたことないと思っていても、ハタから見たらすごいことが、たくさんある。
こんなテーマで人生を見てみると、とってもおもしろい。「無名の庶民の生きた昭和史」。人生はすべてドラマだということがわかる。

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