過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ついに森岡の家が解体

あの風格ある江戸期の土蔵、長屋門はなくなっていた。母屋もない。なにもない。美しい巨木だけが残っていた▲居合わせた工事担当者に聞いた。残っている木もすべて伐採するという。その後、どうなる? 駐車場にするという。こんな風格のあるものを取り壊して、たんなる駐車場に……。

きょう森岡の家(旧平野家住宅及び屋敷林)を訪ねてみた。油圧ショベルが数台置かれ、解体が進んでいた▲この屋敷は、浜松市の貴重な文化財だ。しかし、利用率は低かった。その上、耐震性に問題があることが判明。「倒木の危険、落葉や害虫による被害があり、取り壊してほしい」と地元の自治会長、町内会長から市長に要望書が提出された。議会でも取り壊しが可決された。

反対している市民グループは、住民監査請求を出し、そして浜松市長に対して、9月に工事差し止めを提訴した。まだ、第一回口頭弁論も行っていない。それなのに、もう解体してしまった▲裁判となると判決までに一年も二年もかかる。控訴となれば、さらに一年はかかる。市としては、そんな時間はもったいない▲提訴されたって、解体することになんら違法性はない。議会でも可決されているし、自治会の要望書もある。「地元住民の声は無視できない」ということなんだろう。

そんな浜松市は「創造都市」を目指すと宣言する。「地域固有の文化や資源を活かした創造的な活動が活発に行われ、その活動が新しい価値や文化、産業の創出につながり、市民の暮らしの質や豊かさを高めていく」と、うたう。