過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

鈴木重子さんのコンサート/アレクサンダーテクニックのこと

東京に暮らしていたときには、よくコンサートに出かけていた。国立音大も近くだったので、生のオーケストラ、一流の演奏家声楽家のコンサートを聴くことができた▲山里に越してからは、ほとんどそういう機会はなくなった。鳥の声、川のせせらぎなど自然の音楽を楽しんでいるけど。でも、たまにはジャズやクラシック、インド音楽など聴きに行きたくなる。

そんなとき、ひさしぶりに美しい音楽の空間にいるしあわせを感じた▲一昨日、浜松文化芸大で浜松市の企画「楽学」のオープニングで、ジャズボーカリスト鈴木重子さんのおはなしと歌を聴くことができた▲彼女のまったりした穏やかな波動がすばらしかった。どのような生い立ちで、どうしてヴォーカリストになったのかというお話もおもしろかった▲なにしろ重子さんは、お勉強がすごくできた。東大法学部に入って、司法試験を目指していたというのが驚き。勉強ができると、進路など考えずに、偏差値のいちばんいいところに入ろうとする。それで東大の法学部に。しかし、彼女にとって、法律の勉強なんてつまらなかったろうなぁ。よく司法試験などチャレンジしたものだ。

ところで、はなしの中で興味をもったのは、アレクサンダーテクニックのこと▲よく声を響かせるには、〈あたま〉と首の関係がたいせつ。頭部を軽く脊椎の上でバランスを保っていれば声が楽に出るという。〈からだ〉そのものが楽器。空中につられた鐘を打てばよく響く。けれども、どこか押さえられていたら響かない。そのように、自分の体も糸に釣られた楽器のように思うといい、と▲たいせつなのは「学び方」を学ぶということ。身についてしまったパターンを手放していくこと。いわば別の神経系統をつくっていくこと。自分がその時その時に、変わっていく。環境も瞬間瞬間に変化していく。だから、これが「正しい」というものは、ない▲……など、そんな話もとってもよかった。