過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「鎮宅霊符尊神」をまつる禅寺

その名も「太陽禅寺」とある。おや、いい名前だ。立ち寄らせていただこう。数年前、伊勢神宮を参拝して吉野に出かけた。その移動中、三重県多気大台町栗谷というところにその寺があった。

ちょうど住職がおられたので、おはなしをお聞きする。ふつう禅寺というと、本尊はお釈迦さまであろう。ところが、こちらは「鎮宅霊符尊神」という神さま。チンタクレイフソンシン?  この名は初めて聞いた。聞けば北辰妙見菩薩という。

すなわち妙見さんである。もとは道教における星辰信仰、特に北極星・北斗七星に対する信仰に由来する。北辰・北斗を神格化したのが『鎮宅霊符神』。それが仏教に入って『北辰妙見菩薩』。さらには、神道では『天御中主神』(アメノミナカヌシ)と習合したともいう。このお寺は、ぼくの思うには、もともと神仏混淆修験道霊場であったかも。それから後、曹洞宗に変わったのだろう。修験道霊場から、曹洞宗のお寺に変わった例は多い。うちの山里でも、その例が多く見られる。

鎮宅霊符神を本尊にしているお寺は、まことに珍しい。これは明治初年の神仏分離令によって、鎮宅霊符神が邪神として排除されたためともいわれる。神仏分離令を免れて神仏混淆の寺社を見つけるのは、ぼくの楽しみの一つだ。そうして、境内を歩いていると、さらにもうひとつ発見をした。