あかり(9歳)は、おとうちゃんのFacebookを楽しみに読んでくれている。
「おとうちゃんの文章が好きだ」と言ってくれる。
「文章を書くといいよ。それが一番の学びになるんだから」。あかりには、いつもそう言っている。
で、すこし文章の作り方講座。
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──文章は、〝いきなりトップギア方式〟がいいんだよ。
「どういうこと?」
──いきなりヤマ場から書いていく。
たとえばね、こうだよ。むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。おじいさんは、山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に‥‥。そんなふうに書いたら、読む人は眠たくなって、すぐに他に行ってしまう。だから、いきなりヤマ場、トップギアから書き出す。
「どういうふうに?」
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──おばあさんが、おおきな桃に包丁を入れました。すると、桃の中から元気な男の子がでてきたのです。おじいさんもおばあさんも、たまげました。
そんなふうに、いきなりヤマ場から書き出す。
「なるほど。そうだね」
──こないだ書いたのを覚えているよね。あかりと山を歩いてたとき、ヤマビルが寄ってきて血を吸われた話だ。
いついつ、どこそこにいて、山に登りました、じゃあない。
いきなり「うわあ、おとうちゃん、こわい。ヤマビルだよ」というところから書き出している。
「うん、そうだったね。それがトップギアってことだね」
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まあ、そんなやりとりをした。それにしても暑すぎるので、川で泳ぎに行こうとでかけた。
山里は過疎地でなんにもない。しかし、川で泳げる、焚き火ができるってのが、まあすごい贅沢なこと。そうは言ってもっても、人家のあるところは生活排水の臭いはする。こんどは、まったくの消滅集落の川に行くことにしよう。
川の透明度、色、臭い、流れ、魚がいるかいないか、そんなところを五感で感じていくのは、とてもたいせつな学びだと思う。