過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ドーナツをこしらえて社内営業をはじめたあかり

「おとうちゃん、冷蔵庫にあるドーナツは売るんだから、食べないでよ」
そういきなり言われた。
ドーナツを売るんだという。
お姉ちゃんと一緒にドーナツをこしらえた。
そうして、社内営業をはじめた。
おとうちゃんはひとつ買わされた。こうちゃんは二つ買ってくれた。
──電気代も材料費も、みんなおとうちゃんがだしているのになあ。うーん。
そう言っても、わからない。
まあしかし、「稼ぐ」という意識が芽生えてきたのは何よりだ。
──こんどは、社内営業じゃなくて、外の人に売るんだよ。そしたら、それは自分のお金になって、百均で何でも買えるよ。
昨日は百古里(すがり)の十八番市(おはこいち)に行ってみた。
──ほら、こんなふうに、“あかりの店”をだして、お客さんに買ってもらうといいんだよ。きっと売れるよ。
「売れるかなあ。ほんと?」
──まずはひとつでも売れたらうれしいよね。でもね、ひとつ200円だとすると、千円をお客さんが出してきたら、“はいお釣りは800円です”と、即座に計算して渡すんだよ。だから、計算、だいじなんだよ」
「わかった。じゃあどこで店を出したらいい?」
──毎週、水曜日に春野の「ふれあい広場」でイベントやるから、そこでまず店を出してみればいい。それから、百古里の十八番市にたのんでみたらいい。
「そうだね。出すならコーヒー屋さんの横がいいね。コーヒーとドーナツってあうじゃない」
そんなやとりとりあった。ひとつ、目覚めたかなあ。