過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

過夕焼けと皆既月食と

「おお、皆既月食だったぁ」
施設からもう家に帰らなくちゃと、玄関ドアを開けたら、お月さまが見えた。
針金のような月。これから、だんだんと太くなっていく。


施設から家まで歩いて数分だが、あかりは「おんぶしてー」と言ってくる。
「仕方ないなあ、いいよ。どっこいしょ」と背負う。


いつも、お月さまや星を眺めて、おんぶしながら、話をしたり歌ったり、ときに大声で叫んだり。
こういうことは、いましかできないことだからね。


──すごいよ、あかりちゃん。皆既月食なんだよ。おとうちゃんだって、この人生でみたことなかった。これからもうきっとない。
「あかりちゃんは、おとうちゃんよりも、たくさん生きるから、また見られるね」
──そうだね。おとうちゃんは、これが最初で最後だなぁ。


きょうは夕焼けもすばらしかった。

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