過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

お姫さまと王子さま

「あかりちゃんは、やっぱりお姫さまになりたいの。そうして、お金もちになるの」。
 
──そうか。お金もちはいいよね。それで、お金もちになったらどうしたいの。
 
「お金もちになったら、ほしいものがいっぱい買えるでしょう。好きなところに行ける。もう仕事しなくてすむし」。
 
かあちゃんとおとうちゃんが、深刻に仕事している姿を見ているので、仕事は大変だあ、ラクさせてあげたいと思っているらしい。
 
──どうしたらお姫さまになれるの?
 
「それはね、流れ星があるでしょう。流れ星を見たとき、お願いをするの。そうしたら、なれるんだよ」。
 
──おお。それはいいなあ。お父ちゃんも、そうしてみようかなあ。でも、もおとうちゃんは、なにになりたいかなあ。
 
「あのね。おとうちゃんは、王子さまになればいいよ」。
 
──ふーん、それっておもしろいかなあ。
 
「おもしろいよ。だって、王子さまになったら、あかり姫に何でもやってくれるの。あれして、これしてといったら、やってくれるの」。
 
──それって、王子さまじゃなくて、たんなる召使いってこと?
 
「うん。そうだよ」。