【日本の戦後史から続く「構造的な闇」:統一教会と自民党】2026.1.19
高市政権による解散総選挙の狙いの一つは、統一教会(世界平和統一家庭連合)問題の沈静化にあるのではないか。
新年早々、教団の内部文書が韓国で明らかになった。
韓国メディア(ハンギョレなど)が報じたところによれば、2021年衆院選で自民党だけで290人応援してきたという(徳野英治元会長が韓鶴子総裁に報告したとする内部文書「TM特別報告」)。また高市氏の名前は32回も登場している。
この文書の信憑性については議論されているが、「関与を認めた議員は180名」というい自民党の過去の内部調査もあるので、事実に近いようにみえる。
そうだとしたら、反社会的な活動が指摘されている団体が、政権与党の政策や選挙に深く入り込んでいたという事実が露見したことになる。
そこで、今回の急展開の解散総選挙の狙いは、歴史的な膿(統一教会という反日勢力との構造的な癒着)が噴き出す前にリセットしようとする思惑と、とらえることができるのではないか。
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歴史を遡れば、実際、自民党の立党以来、同教団は政権与党と癒着してきたのは事実である。
岸信介、笹川良一、児玉誉士夫といった自民党の創設期に関わった人物たちと、統一教会の関係は深い。
岸信介の邸宅の隣には、勝共連合(統一教会)の本部が置かれ、笹川良一は自らを「文鮮明(ムン・ソンミョン)の犬」と称した。福田赳夫元首相は、そのパーティにおいて「東洋に偉大な指導者現る、その名を文鮮明という」と持ち上げた。
これら戦後日本の枠組みを作った「フィクサー」たちが反日勢力と結びついていたとさえいえる。
また、自民党の安倍晋三元首相などは、いわば統一教会の広告塔になっていた。教団の会合へのビデオメッセージ送付や、教団のイベントに出席したり祝電を送っていた。
それは、教団に「お墨付き」を与え、被害者が「政府も認める団体なら安心だ」と信じ込み、被害が拡大・継続したという経緯がある。
また、統一教会は、選挙支援として電話作戦やビラ配りなどのボランティアスタッフとして信者を派遣していた。
信者を議員秘書として送り込むことで、内部から政策決定プロセスに影響を与えようとした「内部浸透」の懸念もある。
ちなみに、自民党のマークと統一教会のマークはほとんど似ている。
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ここで問題の本質を整理してみよう。
第一に、「美しい国」や「愛国」を標榜する自民党が、実は「日本をエバ国家(罪を贖うべき国)と見なす反日的教義」を持つ団体と繋がっていたという矛盾である。
統一教会の教義は極めて「反日的」である。日本を「エバ国家」とし、「アダム」である韓国に跪き、罪を償わなければならないとする。日本を「サタン(悪魔)側」の国とし、韓国(アダム国家)に貢ぐことでしか救われないと説く。
このような教団から影響を受けているということは、自民党が反日勢力に忖度し、支配されていることを意味する。
「日本を取り戻す」と主張する政治家たちが、その裏で「日本は韓国に跪くべきだ」と教える団体の資金力や動員力に頼っていたという事実は重い。
すなわち自民党は「美しい国」や「愛国」を標榜しながら、その実態は「保守の仮面を被った売国勢力」ではなかったのかという矛盾がある。
第二に、旧統一教会は「破壊的カルト」であるという点だ。旧統一教会が「霊感商法」や「高額献金」によって、多くの家庭を崩壊させてきた。反社会的な活動を繰り返してきた事実がある。
現在、司法においても解散命令請求が進行している段階にある。そのような破壊的なカルト宗教と自民党が癒着していたという事実は大きい。
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一方、野党側でも、立憲民主党と公明党の関係が議論される。
公明党の支持母体は創価学会であるため、「自民党と旧統一教会の関係を問うなら、公明党と創価学会の関係も同様ではないか」との指摘が一部にある。
ただ、破壊的カルトであり反日的な教義を持つ統一教会と、一宗教団体としての枠に収まっている創価学会。この両者を同一視することはできないだろう。
創価学会もかつては「折伏(しゃくぶく)大行進」に見られるような行き過ぎた布教活動や、言論出版妨害事件などの問題を抱えていた。
しかし、それらの反省を経て、現在は公明党と「政教分離」の原則に基づき(ちと疑わしいが)、政策協議を通じた協力関係に留めている。法治国家の枠組みの中で活動している。
創価学会には統一教会のような「日本を破壊する」「多額の献金を搾取し家庭を崩壊させる」といった破壊的カルトとしての性質は、それほど見られない(もちろん行き過ぎた面も散見されるが)。
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ただ歴史的には、価学会自体も、草創期において、「反共の防波堤」としての役割から、自民党の岸信介と接近していた。
岸は創価学会の寄進した富士大石寺の大講堂の落慶祝賀式典に出席しようとしていた。ただ参拝寸前まで行ったが引き換えして、代わりに娘と娘婿:安倍晋太郎(安倍晋三の父)が参拝した。
こうしてみると、政治と宗教の関係は、戦後日本の反共主義などの構造の中でも形成された側面があり、単純に一党の問題と切り分けることは難しい。
「自民党だけの問題」ではなく、戦後日本の政治・宗教・反共構造が産んだ歪みの象徴ともいえる。