過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

スマナサーラものがたり(55)テーラワーダ協会の初期の出版

スマナサーラものがたり(55)テーラワーダ協会の初期の出版


私が一般の方に知られるようになったのは、脳科学者で有名な養老孟司先生との対談(『希望の仕組み』宝島社)から、かもしれません。それから養老先生が、「このお坊さんは面白い」ということで、テレビの企画に紹介してくれたりしまた。
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また、NHKの『心の時代』に出演しました。金光俊郎さんのインタビューでした。NHKには5回ほど出たでしょうか。
いろいろ著名な方と対談しました。山折哲雄さん、立松和平さん、シスターの鈴木秀子さん、玄侑宗久さん、宗教評論家のひろさちやさんなど。たくさんの方で、あまりもう覚えていません。
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ひろさんとの対談は、初期の頃です。30年くらい前になりますか。
彼は大乗仏教の立場から、「仏教は宗教である、信仰である」という立場、私の方は「仏教は宗教ではない、信仰ではない」という立場の論議となりました。
しかし、その対談の過程で、ひろさんがブッダを侮辱するような発言がありました。
私があまりにも下手に出て丁寧に喋っているので、「踏みつけやすい」と勘違いしたのかもしれません。彼はちょっと調子に乗りすぎていました。
こちらが見かけはコブラのように傘を出してないからと言って、コブラはアオダイショウではない。
傘がないからアオダイショウだろうと思って蹴っちゃうと、たいへんなことになります。
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私たちは、ブッダを尊敬して生きているんだから、そういう時には、どこか知らないところから、どかーんと力が入るんですよ。その力で、ブッダの力を理解するんです。
私を侮辱しても構わない。人間だからね、間違いも至らないところもたくさんありますよ。声が悪い、歩き方が悪い、食べ方が良くない、未だに日本語もろくに喋れないねとかね。それは全然問題ないんです。でも、「あなた方の尊敬しているブッダは、なんなんだ」と言われてしまうと、もう手榴弾が炸裂してしまうんです。そんなこともありました。
対談は原稿になりましたが、結局、出版されることはありませんでした。段取りして原稿にした池谷さんは、苦労したかもしれませんけど。
スマナサーラ長老のインタビューをもとに池谷が構成しています。