過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

自分を守るのが民法 武器になる

自分を守るのが民法
ぼくは大学で法学部に在籍していながらまったく、まったく授業に出なかったし留年もした。そもそも法律が好きではなかった。むしろ哲学とか、文学が好きだった。しかし、法学部のほうが「つぶしがきく」などと言われて、安全パイとして選んだのだった。

で、卒業して30年たって、原稿料を支払わない出版社を相手どって裁判を起こした。その段になって、はじめて「法律は武器になる」「自分を守るためにある」とわかった。
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20代の頃、自分の車を目の前でクルマを蹴飛ばされて車体が凹まされたことがあった。相手は学生が3人。こちらは、とっ捕まえて住所を聞いて、「弁償しろ」と迫った。カネがないと言うので、親にも電話した。けれども、有耶無耶になって泣き寝入りであった。かなしいかな、まったく法的な攻めができていなかった。

民法第709条には、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」とある。

「故意」(わざと意思をもって、結果がわかっていながら、あえてその行為をする)でも「過失」(わざとじゃなくて、悪気もなくて、注意義務に違反したり不注意)でも、相手に被害を及ぼした時、損害を賠償する責任があるということだ。
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相手を威嚇したり、なじったり、すごんだりするよりも、粛々と裁判にもっていけばいいのだ。

具体的には、警察を呼んで被害届を出す。あるいは、事実関係を一筆書かせる。写真を撮る。とにかく、客観的な証拠をつかんでおく。
事実関係を明らかにしておいて、加害者に対して損害賠償の請求をすればよい。
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まずは「訴状」を書く。裁判所に提出するのだ。
「訴状」には2枚くらいのもの。法務省からダウンロードできる。
書き方はこんな感じ。

①損害賠償請求事件とか「タイトル」を付ける(裁判官は、100も200も裁判を抱えているので、タイトルがとても大切)
②「賠償の請求金額」。修理代や慰謝料など。
③「請求の原因」。ここは、事件の概要を端的に書く。いつどこで、こういうことがあったこうなった。費用はいくらかかる。
④「証拠方法」。それらを客観的に立証するものをまとめる。
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で、裁判所に原告と被告が出頭する。
だいたいは、法廷というよりも、ラウンドテーブルで行われる。
裁判官から「示談せよ、和解せよ」と言われることが多い。そのほうが短期間に決着するし裁判官もラクでいい。

で、和解したら、判決と同じ効力のある「和解調書」が書かれる。
和解調書には執行文(強制執行ができるという証明書)を付与される。

で、支払われないときは、相手の給与の差し押さえ、土地や建物などを差し押さえて競売して、その弁済に充てさせることができる。このあたりの処理は、ちと面倒だが。
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和解しないと、裁判が始まる。
日本の裁判は「書面主義」だから、準備書面というものを提出しあう。裁判所には行かなければならないが、時間は5分くらい。裁判官から、「訴状(あるいは答弁書)について、「陳述しますね。」と聞かれる。「はい。」「じゃあ次は、いついつ行います」「はい。あ、その日は都合が悪いのでこの日に」みたいなやりとり。

まあ、その程度だ。まあ、裁判になると小さなことでも半年や一年もかかってしまう。ので、途中でやはり裁判官から「和解しませんか」と言われる。そのあたりで、落とし所を見つければよいわけだ。

このあたりは、ほんとうは中学あたりから学んでいくといいのだと思う。我が身を守るために必要なことだから。