過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

次の裁判が始まる

ややこしい揉め事があったら、裁判の道がある。相手がお金を払ってくれない、お金の使い込みをされてしまった等々。泣き寝入りはよくない。そこで裁判があるわけだ。戦うわけだから相手との人間関係は破綻する。仕方なし。


弁護士を雇うと、お金がかかる。100万円くらいかかったりする。
しかし、弁護士を使わないでも、「本人訴訟」は可能だ。印紙代と切手代だけで数万円(一千万円の訴訟として、5〜6万円ですむ。あとは、自分の頑張りで書面を書いていく。


和解調停というものもあるが、これは別の機会に。
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事務的な順番としては、まずは「訴状」を書く。雛形はネットにある。
「請求の趣旨」は、被告はいくら支払え。金利はいつから年に○%。
「紛争の要点(請求の原因)」として、これこれこういうわけだと簡単に書く。細かく書かない。「添付書類」として、その証拠をあげておく。びっしり挙げなくてもいい。


まずは訴状を出してしまう。文書の不備の場合は裁判所の書記官から、ここを直すようにと指示がある。訴状が受理されると、裁判の日程が決まる。


相手(被告)には、ある日、突然、裁判所から特別送達が届く。中をあけると「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」と訴状が同封されている。かなりびっくりする。裁判には出かけなくちゃいけない。混乱し不安に思うことだろう。


相手は素人だ。弁護士を雇わなくちゃ。しかし、どの弁護士がいいのか迷う。弁護士事務所に行くと最初の30分はタダだけど、あとから一時間5千円とか1万円かかる。公の無料相談もあるが、月に一度とか、二度とか。時間がかかる。弁護士に頼むと、訴訟金額によるが、着手金と日当と成功報酬で100万とか200万円かかったりする。
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裁判のポイントは、「裁判官が決める」と言うことだ。「裁判官の心証形成」が第一。


裁判官は法律に則って判断するわけだが、そのとき最も大切なのは「客観的な証拠」である。「言った、言わない、約束した、聞いてない」。そういう応酬には意味がない。


それを裏付ける客観的な証拠が揃うかどうかで勝負が決まる。
しかし、訴える時、最初から証拠がすべて揃えられるわけではない。


そこは、将棋のようなもので、戦略はあるけれど、局面局面で展開が違う。相手の出方を見てそれれに応じて変化していく。いつか相手が矛盾したことを言ってくれば、そこを衝く。


戦術としては、手持ちの駒を見せない。歩か桂馬くらいしかないと見せかけて、いざというとき飛車角を出す。


これまでの経験から、だいたい相手は、不利になると、あれこれと論点をずらしてくる。そうして、「証拠偽造」「改ざん」「隠匿」する場合もある。


そして論理の辻褄が合わなくなってくる。
そこを裁判の過程で明らかにしていく。
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日本の裁判は「書面主義」である。
書面を出し合うけゲームのようなものだ。書面を書くときには、過去の判例をネットで調べて書く。「このように主張する根拠は、この判例にある」と。判例が極めて大切なのだ。


よくあるドラマのような、尋問とかのやりとりはまったくない。
裁判官とのやりとりは、「次の期日はどうしますか」。「あ、その日は都合が悪いので」「じゃあ、いつにしますか」ということで、5分もかからない。


ところで、裁判官というのは忙しい。たぶんひとりで、訴訟案件を100〜200件くらい抱えているかもしない。


だから、最初から準備書面をいちいちじっくり読まないのだ。本気になると読むけれど、だいたい書面の数行読んで直感で心証は形成されるように思っている。
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日本の裁判というのは、とにかく長くかかる。大したことのないものでも、毎月一回の書面の出し合いなので、軽く一年はかかる。ヘタすると数年。さらには、控訴などがあるとまた一年とか。
だから、被告と原告ともに集中力の持続が問われる。これが疲弊するのだ。


そこで、裁判官は、「和解しろ」と迫ってくる。
和解に持ち込んだほうが、エネルギーの双方のロスが少ない。裁判官も判決を書く手間が省けるわけだ。
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ぼくはかつて裁判を三度おこなってきたことがあるが(すべて勝訴)、裁判官が「和解しろ」と脅してきたことがあった。言い方が偉そうアタマきた。その裁判官を忌避しようかと考えたこともあるが、リスクが大きい(裁判官の心証を害したらおしまい)ので、そのままにしていた。


しかしなんと次は替わりの女性裁判官になっていた。この案件はあまりに面倒だからと、部下に押し付けたんじゃないかと思われた。その女性裁判官は、「和解しませんか」とうちに直接、電話してきた。やんわりであったが。


「ぜったいに和解しませんよ。きちんと判決を出してもらいます。だいたい裁判官は書面をきちんと読んでますか。まずは読んでください。話はそこからです」と言った。


この裁判は、相手が、つじつまが合わなくなって、証拠を偽造してきた。その偽造した推移を妻が見つけてくれたので、「証拠偽造」の時点で、裁判官の心証は圧倒的に被告に不利となった。相手は完敗した。


相手は控訴もしたが、口頭弁論の一回で取り下げた。やはり「証拠偽造」を裁判官に衝かれていた。相手の弁護士(既成仏教の宗派の顧問弁護士)は大慌てであった。
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「ウソはバレる」「隠していたものは、露見してくる」と思っている。


「ウソ」を一つでもつくと、そのウソを証明するためにまた次のウソ……となって、ついには証拠偽造しなくちゃいけなくなる。それはバレる。バレたら致命的。まあ、こちらとしてはそこにさそいこんでいくという戦術もある。


ということで、来年から次の裁判がスタートすることになった。