Mさんが訪ねてくれた。4月で90歳になるという。
嫁いできた集落(小俣)はもう20年ほど前に消滅した。
引っ越してきた地域でも、ほとんどが年寄りばかりで、集落で昨年は4名亡くなったという。あのひとが、あのひとが、前の日まで元気だったのに‥‥と。
───ぼくが移住して13年。もうずいぶん亡くなったね。あと10年したら、もう集落はなくなってしまうかもしれないね。
そんなやりとり。
土間で薪ストーブで火を焚いての語り合いは、落ち着くものだ。
───こんど、七輪を20台くらい置いて子ども食堂をやるよ。子どもが自分で焼いて食べる。皿も洗う。子どもはタダ、大人は300円かなあ。
「みんなで食べると美味しいし、おしゃべりが楽しいから、ぜひ来たい」という。
Mさんは、中学を卒業したときに、恩師たちに寄せ書きしてもらったノートをいまでも大切にしている。
それを見せてもらった。先生たちの達筆ぶりがすごい。そこに現れている志が高潔。そんな思い出話を聞いたのだった。