「おとうちゃんは、なんでも知っているようだけど、知らないことはたくさんあるんだよね」
──そりゃそうだ。知らないことばかり。
「たとえば、宇宙とはなんなのか。時間とは、空間とは、死んたらどうなるとか。そういうことは知らないよね」
──だいたい自分のことをよく知らないからね。宇宙や時間や空間とか、わかるはずがない。でもね。「わからないでおく」っていうこともたいせつなんだね。
「どういうこと?」
──わかってしまうと思いこむと、そこで止まってしまう。わからないということで、もっと探求していこうとする。「わからない」が自分を引っ張っていってくれるんだ。
「わからないなあ」「どうなっているんだろう」「知りたいなあ」それが大事だね。
夕食のあかりとの対話。