過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

処理水の海洋放水の「広報」に税金800億円。 この広報は、プロパガンダ、洗脳ではないのか

ALPS水(トリチウムを含んだ汚染水、処理水)の海洋投棄が8月24日から始まった。

ALPS水は、基準値以下であり安全。海外と比較して遥かに低い数値であると、政府は広報している。

岸田総理は、処理水の海洋放水の「広報」などに税金800億円を出すという。
この広報は、プロパガンダ、洗脳ではないのか。

これまでの政府、そして東電のやってきた(隠蔽、改ざん)ことをおもうと、にわかに信じがたい。

  ▽
たとえば政府・東電は、このようなことをしてきた。
福島原発の爆発の時のことだ。

東京電力が123号機のいずれもメルトダウンを起こしていたことを発表したのは、事故発生から2か月以上経過した5月下旬のことだ。
(中略)
経済産業省原子力安全保安院の西山英彦審議官(震災当時)は「メルトダウン」を認識しながら、それを公開しなかったことについて、「隠す意図はなかったが、国民に示すという発想がなかった。反省したい」と釈明。

だが、すでにその2か月間で、原発内の放射性物質はベント(放射性物質を含む気体の一部を外部に排出させること)により何度も放出されていた。放射線量、地形、天候、風向きなどを入力すると、漏れた放射性物質がどこに流れるかを即座に割り出すSPEEDI(スピーディ)というシステムがある。

3月12日の1号機の爆発が起こる2時間前、文部科学省所管の原子力安全技術センターがそのシミュレーションを実施したところ、放射性物質福島県浪江町津島地区の方向に飛散していた。だが、政府はそれを住民に告げなかった。

12日夜の時点で、東京の原子力安全技術センターから電子メールでこの結果を入手していた福島県も同様だ。証拠となるはずのそのメールはいつの間にか削除され、受け取った記録もうやむやにされた。

文部科学省がこのSPEEDIの試算結果を、外務省を通じて米軍だけには提供していた事実を国民が知るのは、翌2012年1月7日のことになる。(堤未果『政府は必ず嘘をつく』角川新書より:米軍に提供事故直後に文科省東京新聞 2011年12月4日朝刊)
 ▽
信用ならない政府があり、素朴に以下のような懸念がある。

①処理水は、トリチウムだけではない。多核種放射性物質含有水(トリチウム以外に数十種類のものが含まれる:ストロンチウムヨウ素129、ルテニウム106、テクネチウム99など)である。

②それを今後ずっと海洋投棄を行うことになる。えんえんと流し続けていく。数十年か百年以上か、もしかして数千年年か。まったく見当がつかない。総量でどのくらいになるかもわからない。その道を開いてしまった。

③しかも、1~3号機内から取り出した溶け落ちた核燃料(デブリ:溶けた燃料などが冷えて固まったもの。放射線を出す)は全量見つかっていない。880トンというデブリ取り出しのうち今年度後半に予定されているのはわずか数グラムだけ。原発事故が収束するまで放出を続けてゆく。もしかすると収束するまで、100年以上かもしれない。

④ALPSを通すとトリチウム以外の放射性物質は除去されると言われていたが約6割は除去されずに海洋に放出される。そもそも加害者(東電)が検査をしているのだから、信用ならないのは当然である。IAEAのお墨付きなんて信用できない。日本が年40億円近くの資金を負担し、原子力規制庁から9人も出向しているのだし。

⑤そもそも、各国のトリチウムの海洋投棄の量の比較をしているのだが、各国のものは間接的に冷却した水だ。日本の場合、直接、メルトダウンしたデブリが地下水にさらされている汚染水だ。

⑥生物濃縮という問題がある。プランクとか、イカやタコ、イワシ、サンマ、マグロなど食物連鎖で濃縮されていく。それを人間が食べれば、内部被ばくする。遺伝毒性と発がん性があるわけだ。