〈日本は、かくしてだめになった〉
①「均質で従順で勤勉」。みんな一緒、世間体をたいせつに、人並み。それが価値観。戦後の日本は、とくにそういう教育がされてきた。
②戦後の焼け野原から「復興と経済成長」。朝鮮戦争やベトナム戦争などの特需もあった。なにより、均質で勤勉な国民性、若い労働力が経済を支えた。よく働き、よく我慢した。経済成長とともに希望があった。その象徴が東京オリンピックであり、新幹線(夢の超特急と呼ばれた)。
③田中角栄の「日本列島改造論」。全国津津浦浦に道路が作られた。ダムができた。橋がかけられた。こんな山里でも、みんな舗装。土建屋の友人は、いつもポケットに札束(100万円くらい)を入れて歩いていたという。
⑤国鉄や電電公社も解体、民需主導となり、「バブル」が到来。みんな浮かれた。日本はアメリカのロックフェラービルを買おうとしていた。1千万円くらいのマンションが、軽く1億円以上した。ぼくは会社の総務にいたが、となりは財務部で、毎日、株価操作していた。きょうは何億円儲かった!とはしゃいでいた。
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⑥経済成長すると「円高」になる。すると輸出価格が上がる。ドル建てなので、売り上げはどんどん減る(一時は、1ドル75円)。労働賃金は上がる。工場は生産コストを下げるために「海外に移転」する。国内は空洞化。地方では工場が閉鎖され、仕事がなくなる。
⑦大店法などの「規制緩和」。地方は、イオンとか、ららぽーとみたいな郊外型の大型施設ばかりとなった。地元の商店街はやっていられなくなり、駅前はシャッター通りになった。個性的な店が潰れた。クルマがないと買い物難民になる。
⑧海外は「生産コスト」が安い。やがて、品質も上がり、日本と同等、あるいはそれ以上のレベルとなった。日本は価格競争に負ける。成長が鈍化し、ソニーもパナソニックもシャープも東芝も日立も、もはや、みる影なし。
⑨均質で従順で勤勉な国民性が、かえって独創の人の足を引っ張る。偏差値教育では、「独創」が育たない。安定、高給を求めて公務員志向となる。前例と右へ倣え主義。冒険をしない。起業家精神が育たない。
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⑪いちばん怖いのは、原発。福島原発の放射能の拡散。日本の農作物の放射能汚染は、1kgあたりわずか0.1ベクレル程度だった。それが今は1kgあたり100ベクレルが規制値となり、市場に流通。政府は、放射性物質の汚染度を農業改良に使うと言い出した。海にも投棄している。
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〈ではどうしたらいいか〉
⑫「日は昇れば、やがて沈むもの」。そして、暗黒となる。しかしまた、日は昇る。夕陽を受け入れる。堕ちるところまで堕ちる。そこから甦りがあるのか。滅びを受け入れる。そこからまた、知恵が湧く、ととらえるか。
⑬そうはいっても、いまの暮らし、いまの現実がある。「生活防衛」だけは、しっかりしないといけない。稼ぎは必要。ニッチで勝負するしかないか。かつかつで生きていければよしとする。
⑭なによりたいせつなのは、「人と人とのネットワーク」。人のつながり。縁を大切にするという生き方こそが宝となる。
⑮子を見て思う。これからの時代を生きていくには、偏差値のいい学校など意味なし。されわり、「好きなもの」「得意なこと」を伸ばす教育。好きで得意であれば、努力はいらない。疲れない。楽しい。真似しなくていいから、値段競争しなくていい。そして、外国語の習熟は必要。そしたら、なんとか暮らしていけるのかな。わからない。