過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

腰痛との付き合いの歴史

空っぽになるまでエネルギーを出し切る 「五味太郎」という生き方

五味太郎さんは、絵本の仕事が軌道に乗った37歳の頃、ある整体師のもとに通った。最初の時は「いい仕事をされていますね」と言われた。2度目に「どういうお仕事ですか」と聞かれた。仕事の内容も知らなかったのに、なぜ「いい仕事をしている」と断言できたのか。3度目の時に、その疑問を口にすると、整体師はこう話した。

「『疲れた』と訴える人は多いが、あなたのようにエネルギーが抜け切って空っぽになっている体は初めてです」「こういう疲れ方ができるのは、自分のエネルギーを出し切ったいい仕事をしている人だけ。理想的な疲れ方をされていたので、何をなさっているのか尋ねたんです」

その言葉を機にこう思い定めた。「いい作品を作るとか、世の中とのバランスとかを考えてやるのが仕事じゃない。自分の体が『よーし、できた』と納得するまで、自分が空っぽになるまでやればいいし、それ以外のやり方はできない」と。(太田啓之2023年7月16日 アサヒデジタル)
こういう記事があった。 会員ではないのでログインしてないので これ以降の文章を読んでない。

ぼくは中学時代は機械体操部にいた。着地に失敗して腰椎を痛めたようだ。高校時代から、時折、ひどい腰痛が定期的に腰痛が起きた。階段の上り下りはそろりそろりと足の先から。 かかとから下りると腰に響いて痛い。 くしゃみをする時は 柱か机に手を寄りかからないと、腰に響く。

社会人になってから腰痛が出てきた。32歳の頃、ドイツやイギリスの現地法人を担当して深夜まで仕事をしていた。 休日出勤 もよくしていた。

30歳の頃から、満員電車に乗って揺られているだけで、痛くてしびれてつらい。30分も座ると痛くてたまらない。立ち上がったり歩いたりすると痛みが緩む。座る。また、しばらくすると痛み出す。そんなことの繰り返し。まっすぐに立てない。立つ姿勢は、痛みのために側湾していた。腰から右足のつま先まで、しびれたように痛む。腰骨と大腿骨は芯から凍りついたような痛みとしびれがある。

とにかくそんな状態が1日中。 医者に行けば 温めるか 重りで引っ張るぐらいしかしない。あるいは コルセットをする。最悪は腰椎の軟骨の部分を切るという手術療法を勧められた。

腰は身体の要というわけで、腰が動かなければ体ぜんたいの動きも悪い。俊敏になれない。この先、歳をとったらさらにひどくなるだろうと思うと、暗澹たる思いがしていた。 腰痛とともに一生暮らすという人生は辛い。
  ▽
 そんな時ある自己啓発セミナーで出会った工藤先生という方がおられた。「いちどうちの診療所に遊びにおいでよ」と行ってくれた。下北沢の治療院に遊びに行く。診察台に乗っかって僕の太ももの部分に ちょいちょいと触ると「ああ、やっぱり」と言う。

「体全身が負けてはいけないと緊張しているよ。 重心が上に行ってしまっている。それが腰痛の原因だね。 骨というものは筋肉が支えているんだよ。だから支える筋肉が緊張すると骨がそれによってずれるんだ。あなたの場合、太ももがぱんぱんに固くなっている。怒りのエネルギーのためだと思う。」

───では、どうしたらいいでしょうか。

「骨を直すというよりも 筋肉の硬直をゆるめる。あなたの場合は“負けるまい”という気持ちで仕事をしているんだね。だから、太ももの筋肉が硬直して 腰椎をアンバランスに引っ張って、それで痛みが出ている。今ちょっと治療はするけれども 根本的には生き方を直すしかないよ」

───生き方というと。

「勝とうとしない。負けるが勝ち。 急がば回れ。そんな気持ちで生きるしかないんだね」
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そのように言われた。そして 相変わらず腰痛は続いていた。
ある時 会社の社内事情で移動があった。社長が会長に退き その影響下にあった事業部長が子会社に出向、私は海外事業から社内の持ち株会の管理、株主総会を管理する部署に回された。

本流から外れた感じであった。 工藤先生の言うように、いやいやこれが「急がば回れ」「負けるが勝ち」のときと思いだした。

大した 忙しい部署ではないので5時半になるとすぐ帰るようにした。 それでいろんなセミナー(当時は自己啓発セミナーが盛んだった)を次々と受けるようになった。

そのうち、自分が頑張らなければとか。あの部署がけしからんとかという気持ちがどうでもよくなっていった。やがて、不思議なことに腰痛はすっかり治ってしまった。

色々な経緯があったが会社そのものはやめてしまった。 そしてフリーランスの道を歩むことになっていろいろ 波乱万丈の人生であったが、あれほどの腰痛は 以来 全く起きていないのである、

五味さんのように「自分のエネルギーを出し切ったいい仕事をしている」ができたら 素晴らしい。 ともあれ 好きなことで仕事をすること。なおかつ 自分の得意な分野を土俵にすること。 そしたら仕事が楽しい。仕事は深まる。クライアントから満足をいただける。仕事は広がる。何とか暮らしていけるようになる。そんなふうに思っている。