過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

あかりと一念三千の会話

「いよいよ来月は、あかりの誕生日だよ」
──そうだね。8つになるんだなあ。すごいことだよ。おとうちゃんと違って、まだまだ先があるなあ……。

「でも、あかりは10になっても、地獄に行かないよ」
──ああ地獄(笑  
※おとうちゃんがいつも、ひーとつ・ふーたつ・みーっつ・よっつ・いつつ、とうでとうとう地獄行き、地獄行きという歌を作って歌っているためだ。(麻原彰晃のエンマの数え歌を改変したもの)

──うん。でもね。地獄っていうのは、この生きている世界にあるんだよ。ほら戦争なんかして殺し合いしてたらそこは地獄だ。いま目の前を走っているクルマが、フラフラしてセンターライン超えたりしているでしょ、あれぶつかったら地獄だ。

「うん、あのクルマ、あぶないね。すごくゆっくりだしフラフラしてる」
──あれ、どこかのおじいちゃんの運転だね。近づかないほうがいいね。
それでも、ぶつかるう!わああ!という瞬間、地獄。でも、助かったら、ああよかったと、こんどは嬉しい天国だ。

こうやって、瞬間瞬間、心ってのは変化する。
地獄もあれば天国もある。怒った瞬間、もう次には喜びになったり。次々と変化するんだよね。天国も地獄もこの世にあるんだね。

「たしかにそうだね」
──それをね、「一念三千」(ひとつの心が瞬間瞬間、たくさんの心に変化していく様)ていうんだよ。

「それって、慣用句? 馬の耳に念仏とか」
──いや、あんまりつかわない。仏教用語だね。

仏教用語って?」
──お釈迦さまという人が言ったことを、まとめた言葉だけど、要は、自分の心のありさまを、いろいろ表現しているんだね。

※あかりとキックボクシングの教室に行くときの会話から。