日本で有名なお経は『般若心経」と『法華経』だ。『般若心経』は、短くて読誦しやすい。写経されるお経の代表格だ。
『法華経』は、いわば日本仏教の基礎となっている。比叡山において密教と融合して本覚法門(凡夫はもともと悟っている)の土壌を形成した。
鎌倉時代の祖師たち(法然、親鸞、日蓮、栄西、道元など)も、そこから生まれた。
戦後の新興宗教(霊友会、立正佼成会、創価学会など)も、『法華経』の教えを実践の基軸においている。
このように日本の文化に大きく影響を与えたのが『法華経』といえる。
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ここで、『法華経』の内容を説明しようというとき、ややこしい。
たとえば『法華経』のなかに『法華経』が出てくる。『法華経』のなかで、『法華経』を褒め讃えている。
どういうことか。
文字として伝えられた『法華経』とは別に、文字に伝えられない『法華経』があるともいえる。
釈迦の生まれる以前に、『法華経』は説かれてきた。また異次元の数多の仏菩薩によって『法華経』が説かれてきた。そう『法華経』に書かれている。
すなわち『法華経』は、たくさんあることになる。
大きくいうと『法華経』は2つ。
現実世界の『法華経』は、釈迦によって説かれたとされる『妙法蓮華経』(1部8巻28品:『サッダルマ・プンダリーカ・スートラ』)。
現実世界を超えた『法華経』は、文字によって表されない天文学的で膨大な量の教え。
いかに膨大な教えか。たとえば、「日月燈明仏」が説いた。この仏は二万仏もいたという。妙光菩薩が説いた。大通智勝仏が説いた。その息子の十六王子が説いた。阿私仙人(釈迦の過去世の師匠)が説いた。威音王仏が説いた。不軽菩薩が説いた。
そのように『法華経』に説かれているのだ。
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それらは別々の教えなのかというと、どうもそうじゃないらしい。
そんなにたくさんの『法華経』があっても、それらはすべて「無量義・教菩薩法・仏所護念」と表現される。計り知れない深い意味があり、悟りを求める者のために説かれ、仏が守護している教えという。
では、そんなにありがたい『法華経』とは、いったいどういう教えなのか。どこがどうすごいのか。
これが、いくら読み込んでも、どうにもわかりにくい。
そのあたりを詳しく論じようと思うけれど、えらく長くなるので、また別の機会に。
まとめると、
①『法華経』は日本文化に大きな影響を与えてきた。
②鎌倉仏教の祖師たちは、『法華経』を学んだ。
③新興宗教の多くは『法華経』をたいせつにしている。
④『法華経』には現実世界の『法華経』と現実世界を越えた『法華経』がある。
⑤それらはすべて、仏によって守られている。