過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

いろいろ危機一髪のことがある海外の旅

海外の旅は、アブない危機一髪のことが多い。うわっどうしよう、もうだめか。ということは、たびたび。もとより危なそうなところに近づいていくので、要は自業自得なのだが。
しかしまあ、結局、なんとか切り抜けてきた。なんとかなるものだという体験は、自分には価値があった。
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初めてインドに行ったときのこと。もう30年以上も前のことだ。
当時は、フツーのサラリーマンだった。株式課というところにいて、社員持ち株の管理や株主総会の対策などをしていた。
ヒマな部署だったので、年末年始の休暇を利用して10日くらいの旅をした。滞在するホテルも手配しない。「地球の歩き方」という本を携えて、いきあたりばったりの旅でいこうとした。
いきなり予定通りには行かない。JALで飛び立ったものの、嵐でインドのデリー空港には下りられない。
それで、急遽、タイのバンコクに下りることになった。ホテルの費用は、ALが負担する。
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そこは、タイの有名な繁華街で、パッポン通りという歓楽街である。 アメリカ軍兵士が休暇を楽しむために始まったとおりだ。夜になって暇なので、そのあたりをブラついてみた。
せっかくのタイなので、すこしアヤし気な飲み屋に入ってみたくなった。
二階にある薄暗い大きな店だ。奥に通された。
ふかふかの椅子に座るとさっそくホステスがやってきた。
自己紹介。ケバいがきれいな人だ。やがて、こんどは、「友だちー」ということで、また次のホステスが席に着いた。
そして、なんとまた次々と、ホステスがやってきて席に着くのだった。全部で10人くらいになったか。
ホステスが席に着くたびに、カンパーイ、カンパーイと酒をつぐ。
むむむ。なにやらアヤしい雰囲気だ。これは危ない。
このままいたら、ものすごくボラれそうな予感。こわくなってかえろうとする。
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「帰るからね」。
レジに向かう。すると店員が、うやうやしく請求書をもってくる。
よく記憶してないが。日本円にして数万円というところか。ものすごい金額だった。
恰好なカモ、飛んで火に入る夏の虫だったわけだ。
「ホステスを頼んでないし、酒など頼んでないよ。こんなに払わないから」
──お客さん。それは困ります」
「いや、こんな金額、とんでもない」
そんな押し問答。
やがて奥から、おそろしくデカイおにいさんがやってきた。
うわっ、どうしよう。
ぶんなぐられて、ひどい目にあうかも。身ぐるみはがされるかも。
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しかし、ここで慌てて逃げると、かえって危ない。
さて、どうする、どうなる。危機一髪。
そんな時、へんに度胸が座った。まずは、穏やかにフツーに店をドアを押して外に出た。
階段の踊り場から、「ポリスマン!ポリスマン!」と大声で叫んだのだった。
叫びながらスタスタと階段を降りていった。
あとは追いかけてこなかった。結局、無銭飲食したことになってしまったわけだが。
興味本位でいろいろなところに首を突っ込む。石橋を叩いて渡るように生きていかないと、せっかくの先祖の徳を食いつぶすよ。後に、いろいろな霊能者に、言われたことがあったっけ。