過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

クモを怖がるあかり、そこで

怖いものは、怖い。
怖くないよ、といくら言っても、説得力なし。
その人のリアリティでは、怖いのだから。
 
心理学的には、怖いと思っているから怖い。対象物に怖いというイメージを投影(スクリーンとして映っている)しているだけ。いわば幻想だ。
 
ならば。どうしたらいいか。
ちゃんとそのものを観察してみるといい。よく見れば「なあんだ、怖くない」ということがわかる。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」である。
 
というのは、ぼくの頭の中の理論でしか過ぎない。実際に、それが可能かどうか。
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あかりは、クモをとっても怖がる。とくに、「アシダカ軍曹」とも呼ばれるクモで、よく現れる。
 
家にいるゴキブリやハエなどを食べてくれる益虫なんだけど、見た目は気持ち悪い。突然現れるし、動きは俊敏。とにかくものすごく怖がる。
 
怖くないよ、襲ってこないし、いいクモなんよ。
それに、むこうが逃げていくんだよ。大丈夫だよ。
そう言っても、「怖いー」と泣き叫ぶ。
 
それで、クモというものを、リアルに観察すれば実は怖くなるなるんじゃないかな。よく見たら、じつはかっこいいし美しいんだよ。
 
Googleの画像検索で、いろいろなクモを見せた。
なかには、ラピスラズリーみたいな神秘的なクモ、道化師のような色彩のクモなど、なかなか芸術的。あかりは、それはそれで関心をもって、見ていた。
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「じゃあ、絵を描いてみようか」と、二人で描き始めた。
 
あかりも、気持ち悪いーと言いながら、絵を付け足したり色を加えたり、絵の中に自分の姿を入れたり、クモの髪の毛は一つ一つヘビだとか、物語にしていた。楽しんでいるようだった。
 
ふむふむ、これでクモの恐怖症はなくなるかも。そう思っていた。でもまた後から、また泣き出した。
 
おとうちゃんが描いたんで、もっと怖くなったというのだった。たしかに。この絵は怖がらせる絵だったかなぁ。

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