あかりは、親のマネをして寝ながら本を読んでいる。「IT全史」と「本人訴訟」の本を取り出して、読み出した。もちろん内容などわかるはずもない。
頁をめくりながら、絵本のように物語をつむぎだす。
──おかあちゃんは、毎日、コマネズミのように働いています。洗濯が終わったら、パソコンを打っています。
疲れたので、寝てしまいました。おーしまい。
という話だった。
「まるで、コマネズミのように働いているわ」とおかあちゃんが言うので、おとうちゃんは、コマネズミの絵を描いた。
あかりはその絵を見て、「ちがうよ。おかあちゃんは、猫を可愛がる人生なの」といって、描き出した。
おかあちゃんは、「猫をかわいがって、あかりをかわいがって、のんびりした人生にしたいわあ」と言っていた。うむむ……。かなり難しいことだなあ。