過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

だって、怒ったら自分が損じゃない

きょうのデイ。
Mさんは、大正15年生まれの93才。母が生きていればおんなじ年だ。
ひとり暮らし。足腰もしっかりしていて、スタスタ歩く。
丁寧な優しい方で、とても安定している。
いつも静かに、読書したり、塗り絵などをしている。色に強弱をつけてとても緻密に美しく仕上げる。
若いときには、小学校の代用教員をしていた。
その当時を思い出してもらおうと、オルガンを倉庫から出してきた。「嬉しいわ。何十年ぶりかしら」。しばらく弾いてておられた。
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料理も、いつも積極的に参加してくれる。
デイサービスは、日常生活の機能維持が目的でもある。料理の味付け、大根の皮むき、千切り、盛り付け、洗った食器をふくこと、タオルをたたむことなど、やっていただく。
料理をともにしながら、聞いてみた。
──いつも丁寧で穏やかですね。きっと、怒ったことなんかないでしょう?
「怒ったことなんか、ほとんどないわ」
──それは、すごいですね。ぼくなんか、よく怒ってしまいます。
「だって、怒ったら自分が損じゃない」
そう言って、にこやかに笑った。
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なるほど「怒ったら、自分自身が損になる」。これは、名言だ。
怒っても、相手は変わることはない。怒りをぶつけても、怒ったというエネルギーを伝えるだけ。相手は、ちっとも損害を被らない。びっくりしたり、嫌な思いをするくらいか。
怒りのエネルギーは、自分に返ってきて、自分が疲れてしまう。自分で自分を消耗させてしまう。
それは納得。頭ではわかる。しかし、怒るのは自動反応的に起きてしまうってことがよくある。そこにこそ、日々の暮らしの修行があるわけだが。
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