きょうのデイ。
あいかわらず日々、送迎をおこなっている。
Nさん(75歳)は、ひとり暮らしで足が弱い。転倒が怖いので、ほとんど外に出て歩かない。
きょうは、いつもの送迎の定番コースではなくて、ちょっとした道草コースにしてみた。
ほとんど出歩かない人には、ほんの数十メートルの近くでも、道を変えると別世界に映るようだ。
──あれまあ、ここの家は○○さんがいたはずなのに、こんなになったのね。
──おや、○○さん、元気かしら。
ぼくが、すこし解説を入れる。
「ここのTさんは、こないだ脳梗塞になって、10ヶ月入院していて、退院しましたよ。こないだ会ったら、ぼくはもう、そーっとそーっと生きるしかないんだ。そんなこと言ってましたね」
などという話をしながら、近くの家並み巡りをしてみた。といっても、たかだか10分くらいのものだが。
ほんのちょっとした家のまわりでも、コースを変えてみると、ひとつの旅になる。暮らしの歴史と変化の味わい。
足の弱ったお年寄りには、それだけでも、とても新鮮な体験となるんだなあ。