過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

4人の子を連れて、満州から命からがら帰国した母を描いた作品

 この作品が目にとまる。なんというセンスの良さ。「母の一生」というタイトルが付けてある。

ちょうど皮革工芸作家の森脇弘子さん(73歳)さんがおられたので、お話を聞くことができた。

これは、母親の生涯をイメージして制作した。母親は円満な人で、まるくまるくおさめる人であったという。そんな母親のことを描いた作品だという。

森脇さんは、中国の満州ハルピンに生まれた。ソ連が開戦して、日本軍は降伏。父親はシベリヤに連れて行かれ、厳寒の地で強制労働に従事することになる。
母親は4人の子どもを連れて、満州から命からがら帰国した。戦後は、女手ひとつで4人の子どもを育てるなど、さぞやたいへんなことだったろう。
シベリヤ抑留中に父親が縫った足袋が、戦友の手によって届けられた。昭和27年のことだった。その時に、夫の死を知って母親は号泣したという。
スターリンが死んだ時、葬儀の様子が、テレビで放映された。スターリンの遺体が映った時「このひとのために……」と母親は絶句したという。

酒屋の蔵を改装してギャラリーにした「マルカワの蔵」(浜松市天竜区二俣町二俣1174)で、森脇さん作品展が開かれている。6月30日まで。

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