過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

竹細工職人の梅沢貞夫さんが訪ねてくれた

竹細工職人の梅沢貞夫さんが訪ねてくれた。いつも泣きだしてしまうあかりが、梅沢さんに抱かれて安心したような表情だった。かれの手はとても大きい。がっしりしている。

なんと竹細工歴74年。10歳のとき、崖から転落して大怪我をした。たいへんな山奥で医者もいない。片道2時間以上もかけて、自転車に乗せられて病院へ。しかし、麻酔もない。そのまま片足を切断。

10歳の少年は、不自由な体になって、どうやって暮らしていこうかと考えた。家の中でできる仕事をするしかない。どんなことができるか。そうだ、竹細工はどうだろう。しかし、先生はいない。いたとしても、山奥の暮らしで通えるはずもない。梅沢さんは、竹細工の製品を取り寄せて、三日三晩観察した。そして、たったひとりで竹細工を始めたのだった。

つくる竹細工は、竹箕、お茶籠、背負い籠など数十種類。その丁寧で堅牢なつくりは、使い込むほど風合いと味わいが増す。

杖を片手に完全無農薬・有機肥料でお茶も栽培している。「自然茶工場」という看板を掲げた自前のお茶工場もある。もしも竹細工やお茶の栽培をまなびたいひとがいたら、教えてくださる。後継のひとがいたら、みんな譲ってもいいと言われた。