過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

消滅していく集落とコンパクトシティ

日本全国に過疎地が増えていく。北遠地区は、この10年で20%〜30%も人口が減少している。水窪町(長野県に隣接)など、「20〜39歳女性人口」の減少率は、63.5%だ。

過疎化はイコール高齢化。ひとり暮らし老人が増加。車も運転できない人も多く、通院や買い物に支障をきたす。若者は都会に流出していく。学校は次々と廃校となる。店も客が来なければ閉店だ。ますます過疎化が進む。そして、若者の移住者はほとんどない。そうなると、やがて限界集落となり、集落は消滅する。

なぜ過疎化が進むのか。その理由は、「仕事がない」から。空気がいい、星がきれい、森がある、生活コストが安いからといって、人は住まない。定年退職して年金暮らしの余裕世代、あるいはフリーの仕事で食える人はいいが、若い子育て世代は、出費がかさむ、収入は少ないので、とても住むのは難しい。

仕事があれば、人は住みはじめる。だが、こんな山里には、企業はやってこない。公共投資もすくない。林業の再生も難しい。打つ手なし。こうして手を拱いていると、10年、20年後は、集落の消滅を迎えることになる。その過程で、福祉サービスは切り詰められ、施設はなくなり、不便さは過酷なものとなる。橋や道路、トンネルなど、インフラも老朽化して危険になっても、補修はできなくなるだろう。

いま安倍内閣は、地方創生というが、そこには過疎地対策は入ってないように思う。アベノミクス第三の矢、「骨太方針」の一つに「人口急減・超高齢化」のもとでの「持続的・安定的な成長軌道に経済を乗せる」と。その具体化として「地域における『集約・活性化』」の推進を提案している。

国交省による「国土のグランドデザイン2050」では、公的機関、施設やインフラなどの老朽化に伴う統合や廃止、「コンパクト+ネットワーク」で基礎自治体の集約化、つまり「自主的合併」へと誘導しようとしている。

消滅する集落は、それが大きな流れだから、消滅するに任せればいい。暮らしが不便なら、都市部にきなさい。都市部に暮らしやすいコンパクトシティを用意するから。ある程度の暮らしはなんとか確保できるかも。──それがいま行政の政策のような気がしてきた。

そういう流れをみながらも、楽舎としては、定住促進事業をすすめようとしている。